ガンプラ「RG 1/144 Hi-νガンダム」レビュー
独特の配色をパーツ分けで完全再現!「ガンプラの進化」最前線の集大成的キット
中山卓海
RG 1/144 Hi-ν高达
2021年9月11日(六)发售 / 4,950日元(含税)
‘机动战士高达 逆袭的夏亚 贝托蒂嘉的子嗣’中登场的“Hi-ν高达”,以新诠释的细节表现与真实感在RG登场。
具备联系各关节可动部分滑动装甲的“复合连结机构”。藉由滑动各部位装甲,可以表露出机械内部骨架。上下摆动上半腰部便能摆出大胆姿势。腰部装甲搭载连接零件,设计成部会阻碍腿部可动的形式。同时,腿部的大范围可动,能够让膝盖着地。手臂光束枪具有压下手腕便能够伸出的联系机构。脖子零件根据可动情况转动,收纳箱具有能够有如翅膀大幅展开翼状感应炮的机构。另外,利用“进阶MS连接零件”不但可以保持翼状感应炮射击时的型态,还附有各种武装及手掌零件。
【RG 1/144 Hi-νガンダム】
開発・発売元:BANDAI SPIRITS
発売日:2021年9月11日
価格:4,950円(税10%込)
ジャンル:プラモデル
サイズ:全高約155mm
今回レビューするのはガンプラ「RG 1/144 Hi-νガンダム」です。この機体は小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場するアムロ・レイ最後の乗機となるモビルスーツです。映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場する“νガンダム”と双璧をなす“Hi-νガンダム”はニュータイプ専用兵装のフィン・ファンネルを機体後方左右に3基ずつ、まるで羽のように装備し、ガンダム本体、シールドやフィン・ファンネルの特徴的なカラーリングはファンの心を鷲掴みにしました。
【RG 1/144 Hi-νガンダム】
富野由悠季監督によってノベライズされた「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場する「ナイチンゲール」同様、オリジナルデザインは出渕裕氏。小説の口絵に掲載されただけだった、たった一点のイラストが人気を博し、「ナイチンゲール」同様にその後の立体化やゲーム化などによってデザインが熟成されていきました。現状では2つの出自……我々が一般に認識している“RX-93 νガンダム”の発展機とする「CCA-MSV」(逆シャアでのモビルスーツバリエーション)での設定、そして小説に登場する機体をそもそも“Hi-ν”だとする設定があって、ここでもどちらが本当の“Hi-νガンダム”なのか?という設定遊びが楽しめるというのもこの機体の特徴の一つです。
【小説版のHi-νガンダム】
この機体はガンダムとして初めてのサイコミュ兵装“フィン・ファンネル”を装備することになったアムロ待望のニュータイプ専用機です。サイコミュ兵装といえば「機動戦士ガンダム」でアムロはガンダムでモビルアーマー・エルメスのビットの猛攻をかいくぐり、「機動戦士Zガンダム」においてクワトロ・バジーナ(シャア)は百式でハマーンのキュベレイが放つファンネルに苦しめられるなどその登場シーンは数知れずですが、その戦闘力はアムロの目にも魅力的であり必要で急を要する装備だったのだと思われます。
そのサイコミュ兵装は“フィン・ファンネル”としてようやくガンダムに装備できたものの、ビットやファンネルクラスの大きさは実現できず、展開すると機体全高を超える大きさで放熱板を思わせるほどの巨大な板状の“フィン・ファンネル”はコの字に折れ曲がることでメガ粒子砲となったり、複数を組み合わせることでバリヤーを形成することもできます。

ファンの皆様には釈迦に説法だと思われる機体紹介はこれくらいにして、ついにガンプラ化された「RG 1/144 Hi-νガンダム」へと移りましょう。前述のとおり、この機体は過去幾度となく立体化された人気の機体であり、シールドの“スプリッター迷彩”やフィン・ファンネルの“グラデーション塗装”といったカラーリングも特徴の一つです。双方、立体物で実現するにはそれ相応の技術が必要になってくるわけですが、今回のRG化にあたりそのあたりも成形技術の進化でパーツ分けによって実現してしまったようです。恐るべしガンプラの進化……。
そして、RGがもつ1/144スケールでの驚異的な可動性能によって立膝や派手なポージングも見事なまでに再現が可能です。特にRG版発表時に提示された脚部の可動性能は驚きでしかありませんでした。2020年の「GUNPLA EXPO」にて「HGUC 1/144 ナイチンゲール」とともに展示された試作品でRGならではのディテールと密度感、可動性能は“早く組みたい!”と思った方も多数いらっしゃったのではないでしょうか。
今回、メーカー様から発売前のサンプル品をお借りできました。実際の製品版とは違うところもあるかもしれませんが実際に組んでみてそのあたりの検証はもとより、ガシガシ動かしてみたいと思います。
パーツを確認。さすがRGシリーズ……パーツもりもりで組みごたえありそう!
それではパーツ内容を見ていきましょう。ランナーはA~I、サーベルランナーで総数14枚。意外と少ない印象もありますが、このところ採用が進む大きいサイズのランナーに所狭しと配置されたパーツがRGシリーズのガンプラだと感じさせてくれます。組立説明書(写真にはありません)とリアリスティックデカールが付属します。
一通りランナーを見回してみると、シールドやフィン・ファンネルの特徴的なカラーリングの再現方法がよくわかります。なるほど、カラーリングを“デザイン”と新解釈することでガンプラが培ってきた成形技術をもってパーツ分割することで実現しているようです。パーツ分割も細かく、RGシリーズの組みごたえと構造の新発見もありそうでワクワクしてきます。
組立開始。その可動性能とパーツ数はRGシリーズならでは!
早速組み立てていきましょう。外装パーツは“アンダーゲート方式”となっているものが多いです。ランナーから切り離したら2回に分けてゲートをカット、さらにパーツ面に残ったゲート跡をやすりなどで処理します。特に今回のキットはパーツの“合い”が重要になるのは構成を見ても明らかですから、できるだけきれいに処理しておく方がよさそうです。





脚部を組み立てる。あの可動性能はいかにして設計されたのか!?
では組み立てを進めましょう。まずは脚部からの組み立てとなります。試作品が公開された時から、その可動性能の高さは「すごいなぁ……」と思っていたわけですが、実際に組み上げることでその設計思想を堪能することができると思います。




















同スケールの「RG 1/144 RX-78-2 ガンダム」(写真左)と比較すると、脚部の時点でだいぶ巨大です。ライバル機「HG 1/144 ナイチンゲール」(写真奥)の巨体と並べても遜色はなさそうです
腰部を組み立てる。“完璧”な立膝を実現する構造が明らかに
腰部も結構な数のパーツ数で構成されていますが、発表されていたあの“完璧”な立膝を実現させるめの構造が盛り込まれています。それはフロントアーマーを左右に逃がす(開く)ことで大腿部をさらに上側に可動させるというものになるのですがこれはRGならではの設計があって実現できたのだと思います。筆者もそれを実現するための構造を考えることがあったのですがほぼ同じ構造で驚くとともにうれしくもありました。




脚部を取り付けてみると素晴らしい密度感



脚部の可動まで含めるともう、なにがなんだか……とにかくとても動きます
ボディ部を組み立てる。こちらも想像を超える可動性能を実現!
続いてボディを組んでいきましょう。パーツ点数はそれほど多くはありません。初期のRGシリーズはこれでもか、といわんばかりのパーツ分割でしたがここ最近のものは分割はするにはするんだけど過度ではなくディテールや可動を損なわない程度に抑えられており、それでいて可動性能を損なわない構造になっているように感じます。
腕部を組み立てる。抑えたパーツ数でもディテールと可動が素晴らしい!
腕部もとても練り込まれて必要最低限でのパーツ構成となっています。過度なフレーム構造ではなく、ほぼ挟み込みと重ねていく方式の設計となっていますがRGならではのディテールを盛り込んでいるためリアリティと密度感が素晴らしいです。部位単位で組み上げて接続していくだけなので難しいこともありません。








頭部を組み立てる。こちらも少ないパーツ数ですが細かいので注意!
頭部も必要最低限での構成となっていますが、そこは1/144スケールで結構小さいパーツになっていますので飛ばさないように注意して作業しましょう。組んでみると内部フレームにはバルカンやエアダクトのモールドもあってささすがRGシリーズのディテールとなっているのがわかります。

これは細かい!リアリスティックデカールでツインアイを表現できます
ツインアイを貼り付け……


バックパックを組み立てる。Hi-νガンダムを印象付ける装備はボリューム満点
バックパックも構造としては挟み込みと重ね合わせとなっていて組み立てやすさ抜群です。ここまで徹底しているともう“あっぱれ”としかいいようがありません。組立終盤ですが関心しきりでした。ファンネル・コンテナの一番外側の基部とバーニアは連動して可動します。プロペラントタンクも多重構造でディテールはカラーごとに別パーツ化されていて組みあがったら満足度が高いです。
装備とフィン・ファンネルを組み立てる。フィン・ファンネルの特徴的なカラーリングをパーツ分割で再現!
Hi-νガンダムを特徴づけるのはやはり、フィン・ファンネルのグラデーション塗装でのカラーリングなのではないでしょうか。過去モデラー達が塗装で再現したり、MGの「Hi-νガンダム Ver.Ka」ではデカールで再現するなどしてきたわけですがついにパーツ分割で再現する試みが採用されました。なんともガンプラらしい設計でここにも進化を感じずにはいられません。同様に、シールドのスプリッター迷彩もパーツ分割での再現となっています。
【組立:装備】
それぞれ部品点数も少なく組みやすいです
あぁ……素晴らしきかなガンプラの進化
シールド裏も色が回り込んでいて楽しいです
フィン・ファンネル基部は「アドヴァンスドMSジョイント」で組み立てる必要もありません。その基部にパーツを組み付けて“色を乗せていく”といった印象でしょうか。写真では片側3枚を組み上げて、残りを組み立て順においてみました。まさに板状の部分につける白と水色のパーツですが、これらはアンダーゲートとなっています。切り出し部をきっちり処理しておきましょう。素組といえどちょっとしたケアが仕上がりに大きな影響を与えてしまいます。
完成!「RG 1/144 Hi-νガンダム」
では完成したキットを見ていきましょう。全体が組みあがるとそのボリュームに驚かされます。脚部は結構太くて丸い印象ですし、肩やプロペラントタンク、ファンネル・コンテナの大きさもさることながらフィン・ファンネルを取り付けるとさらにボリューミーな印象です。話題の立膝もこのとおり密度感マシマシで表現できます。脚部全体を設置させるように微調整しながら股関節やフロントとサイドアーマーを可動させます。
【フォトギャラリー】
現代風にさらにスタイリッシュにもなったHi-νガンダム
さすがにちょっとテールヘビーですのでプロペラントタンクやスタンドで姿勢を調整してやりましょう
立膝の密度感!脚部は胸部や肩に届くほど上がります

メタリックカラーパーツが効果的なアクセントになっています
フィン・ファンネルが装備されるリアビューのディテールは迫力満点


特徴的なカラーリングはパーツ分割で再現
「RG 1/144 Hi-νガンダム」のレビューを終えて
「素晴らしい!」、「カッコイイ!」という言葉が真っ先に出るくらいとてもできの良いガンプラでした。可動性能、ディテール、色再現などまさにRGシリーズガンプラ!といった感触が一番大きかったと思います。機体設定でも大型化が進む頃の機体ですからRX-78-2 ガンダムと比べても大きくRGとなったらパーツもりもりで組むの大変かも……と思っていましたがここ最近のガンプラは「組み立てやすさ」を全面に押し出しており、本キットももれなくその思想で設計されているようです。
特に「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」を経ての設計をも感じさせるようなメタリックカラーパーツでの印象的なパーツ分けや、スプリッター迷彩とグラデーション塗装をパーツ分割で再現するという意欲的な設計に「ガンプラの進化」を感じずにはいられなかったのも印象的でした。奇をてらった設計はなく、挟み込みと重ね合わせの構造でうまい具合にあわせ目やゲート跡も目立たないように隠す設計は設計者の配慮を感じます。関節類も多種多様でありながら剛性感もたっぷりで大きな機体を十分保持しており、いわば“ガンプラテクノロジーの集大成”となっているように感じました。
【RG 1/144 Hi-νガンダム】
ポージングさせてみるとRGシリーズならではのダンチな性能にも驚かされました。特に脚部は特筆に値するものがありました。完璧なまでの立膝と各部装甲の展開可動など見どころたくさんでケレンミたっぷりなポージングが可能です。このキットを組んでガシガシ動かしてみると「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」を映像で観たい……ナイチンゲールと戦っているところを観てみたい……と思わずにはいられないと思います。
筆者は映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」でそのバージョンでの回想シーンをちょっと期待したのですが……ですのでなおさらそう思うのかもしれません。ガンダムの世界ですからいつかはそういうこともあるかもしれない、アムロも劇中で「絶望なんかしちゃいない!」といっています(ちょっと無理やり……)し期待をしつつこのキットを組みながらその時を気長に待つことにします。組み立てやすさもこのキットの特徴で、何度作っても楽しめるキットだと思いました!