BANDAI SPIRITSは、塗装済み完成品フィギュア「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」を通販サイト、プレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」にて予約を受け付けている。受注販売でお届けは2024年1月を予定し、価格は29,700円
さらに「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」では3種のアーマーとディスプレイパーツのセットとなり、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」に換装して遊ぶことができる。
今回は「超合金」シリーズと「ゾイド」シリーズの夢のコラボによる探求と革新、そして進化が詰め込まれた「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」の魅力を改めて迫っていくともに、予約締切が迫る「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」の気になるポイントや各アーマーの特徴、開発の経緯など企画担当者の小西諒氏にお話を聞いてみた。
戦況に合わせて「ライガーゼロ」の装備を換装するCASとは?
インタビューに入る前に本商品の各アーマー「イエーガーユニット」、「シュナイダーユニット」、「パンツァーユニット」について説明したい。
ライオン型ゾイド「ライガーゼロ」は素体状態から基本となる外装ゼロアーマーがあり、機動力を活かした近接戦闘を得意としている。この「ライガーゼロ」が「超合金」シリーズで立体化されたのが「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」となっている。
同商品は「おもちゃ大賞2023年 ハイターゲット・トイ部門」の大賞を受賞し、プロジェクトの話題性や新技術へのチャレンジと注目を集めた。
小西氏:「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」はタカラトミーさんとのコラボ企画「Dream Together」のひとつとして展開しております。このプロジェクトが始まったのは、コロナ禍などで玩具業界としてユーザーの方と直接触れ合ったりする機会が少なくなっており、業界全体としてユーザーの方々に元気を与えるようなメッセージ性のある商品を作りたいという思いからスタートしました。
小西氏:その中で「ゾイド」や「ガンダム」など両社のブランド、IPを協議し、BANDAI SPIRITSでは「超合金」ブランドで「ゾイド」の立体化が決定しました。その理由としてBANDAI SPIRITSでも「ゾイド」が好きな社員が自分含めてたくさんいます。この特別なタイミングの中で恩返しがしたいという思いもあり、「ゾイド」を盛り上げ、ユーザーの方にも喜んでもらえる商品づくりをしたいというところで「ライガーゼロ」に白羽の矢が立ちました。
小西氏:そして、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」では完成品フィギュアにするというところで、キャラクター性や設定、ワイルドな動きなど「超合金」ブランドで立体化するのがふさわしいと思い選定しました。そして、特徴的な「CAS(チェンジングアーマーシステム)」の“玩具だからこその遊びの幅、キャラクター性の広がり”がホビーの歴史の中で大切な位置づけのキャラクターだと思い、この「CAS」も立体化する前提で決定しました。
――「ライガーゼロ」が持つ魅力や「CAS」の革新的な遊びの広がりは確かに強いインパクトがありました。一方で、「超合金」シリーズは人型ロボットを多く展開しているブランドの印象が強く、今回の「ゾイド」のような動物・獣型での立体化で苦労されたことはありますか?
小西氏:おっしゃる通りでハイターゲット向けの「超合金」シリーズをたくさん展開していますが、その多くが人型となっております。今回のような四つ足で可動が大切なポイントになるキャラクターへのアプローチがほとんどありませんでした。各構造、関節可動のノウハウはあるのですが、ネコ科のような柔軟な動きやキャラクター性を再現するのに試行錯誤を重ねました。
小西氏:可動検証ではデータ上でやりたい動きを入力した設計データを作成し、出力品を出していきます。そこで可動域やユーザーの方に楽しんでもらう動きをさせたいなどの検証をしていきます。基本的にこの検証は3、4回ほどなのですが、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」では10回以上の出力と修正を繰り返し、通常の2.5倍の期間を費やしました。
――「東京おもちゃショー2022」でも出力品が展示されていましたが、それよりも多かった?
フィギュア
小西氏:そうですね。展示ではユーザーの方にわかりやすい段階の出力品を展示しまして、実際のプロセスではその2倍のものがあります。
――「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」ではネコ科のしなやかさが強調されていて、これまでの「超合金」シリーズにはない印象を受けました
小西氏:機構のノウハウはありましたが、ネコ科らしいしなやかな動きへのアプローチがありませんでした。それを表現するために猫やライオンの骨格のレプリカを参考に関節の位置や動きを検証しました。その中から商品にした際にユーザーが遊びやすい動きを実現するために構造の簡略化や玩具的な遊んで楽しさに焦点を当てて、関節の配置や動物らしい動きを検証していきました。
――なるほど。今回「ライガーゼロ」の可動フィギュア化にあたり、デザイン面ではどのようなアプローチになりましたか?
小西氏:もともとのデザインが非常に完成度が高く、僕自身も世代ともあって今見ても「超カッコいい!」と思っています。なので、獣のような動きを再現するため、そのうえで可動を考慮して調整していきました。機構試作を作り、その中で形状にライガーゼロらしい要素、プロポーションを近づけていく流れでした。
――元となったトミー(現タカラトミー)のキットよりも「超合金」ではスマートな印象のデザインになっていましたね。
小西氏:元のキットでは電池ボックスを内蔵したムービングキットで、「超合金」ブランドでは実際のライオンがどのような動きをするのかという面で自然な背骨のゆがみやひねりの動きを再現するうえで、少し細く蛇腹状の構造に寄せていきました。そのため、開発していく中には腰が細くしすぎた試作品もあり、開発チーム内でバランス的に「ライガーゼロらしくない」との声もあり、タカラトミーの方と協議した結果、製品版では分厚く調整をかけていきました。
各アーマーの個性と「ライガーゼロ」の顔に宿るキャラクター性
――可動のこだわりが強く出ている「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」。これに装着する「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」のデザインについてお聞かせください。
小西氏:イエーガーに関しては例えばインテークやフィンなど実際の高速戦闘機やスポーツカーのような要素を取り入れています。フィン部分が元のデザインよりも目立つようにアレンジを加え、肩アーマーのフィンの展開やブースターの連動展開を入れています。
――イエーガーの高速戦闘時の機体制御が展開するフィンやスタビライザーによって、空力制御がイメージしやすくなっていますね。
小西氏:「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ(素体)」には専用台座がついていますので、イエーガーユニットを付けた際には高速で突撃しているポーズや躍動感が楽しめるようにしています。
――ここは可動フィギュアならではの強みですね
小西氏:そうですね。僕らが「ライガーゼロに持っているイメージ」を手元で再現できる。そのため、いかに商品のプロポーションを作っていくかを前提でデザインしていきました。
――素体のスマートと相まって、肩のアーマーの大きさで存在感ある印象ですね。それだけに「動く際に干渉してしまうのでは?」と不安もあります
小西氏:外装なのでパーツの干渉を避けるために、イエーガーユニット自体に逃げるような関節を入れるとデザインに影響が出てしまいます。なので、素体側も各ユニットを付けることを前提にデザインし、ユニットを付けた状態でも可動に制限をかけない設計になっています。イエーガーでは背負っている大型イオンターボブースターに関しては、ポーズを取った際にキャラクター性を逸脱しないように根元部分に可動を仕込んでいます。
――なるほど。さらにブースターが広がって大きく見えるのも魅力的ですね
小西氏:ポーズを付けた際、「ライガーゼロ」のストラクレーザークローを放つポーズなどの肩が上がる際に干渉してしまうので、上や後ろに倒すなど本体のポーズを邪魔しないようになっていまう。また、基部にはダイキャストを使用して重さにも耐えられるようになっています。また、優れた旋回性能を有する設定のイエーガーが実際に存在していたら、大型イオンターボブースターは角度調整ができるはずなのでそうしたイメージも落とし込んでいます。
――イエーガーは高速戦闘向けのアーマーですが、その質感へのアプローチはいかがでしょうか?
小西氏:ゼロユニットではグロス処理をして光沢感のある外観になっています。本体のライガーゼロはマットをベースにして、部分的にメタリック塗装が施され、そのコントラストが映えるように仕上げています。イエーガーでは、マットにするか光沢のあるグロスにするか悩みました。イメージの根底にスポーツカーなどの艶感のある装甲、軽量素材のイメージがあるかと思います。そのため、ベースとなる青はグロス仕上げにしており、部分塗装としてメタリック塗装をしています。
小西氏:パンツァーに関してはミリタリー的な要素の塊なのでマットな色合いに仕上げています。シュナイダーは色の出方も鑑みてマットな仕上がりにしております。
――なるほど。では、次に近接格闘戦特化の「ライガーゼロ シュナイダーユニット」についてお願いいたします。特徴は何といっても7本のレーザーブレードですね。
小西氏:レーザーブレードによる近接戦闘が特徴ということもあり、ブレード自体がカッコいい。シュナイダーを象徴するものなので、セブンブレードアタックによる突撃や左右に展開して敵を切り裂くなど色んなブレードのアクション再現することに焦点を当てていきました。頬アーマーの根元部分も細かく可動するようになっています
――シュナイダーはアニメ的には前作主役機の「ブレードライガー」のコンセプトを継承した装備という印象が強く、ブレードの展開やEシールド展開も気になるところです。
小西氏:頭部のEシールドジェネレーターは伸縮機構を備えていて、シールドを展開するイメージを再現できます
小西氏:背中のレーザーブレードに関しても「ブレードライガー」のコンセプトを継承しているところがあるので、関節部も多くあり、両側への左右展開や前面への展開と様々な角度調整ができます。また、基部にも可動がありますので、片側にブレードを集中した展開ができる。玩具ならではの表現もできます。
――機動力を活かして、自在に動くレーザーブレードで敵を倒していくシュナイダーというイメージが湧いてきます
小西氏:これは想像のお話ではありますが、全方位の敵に対してレーザーブレードだけで戦うという状況になった時、レーザーブレードの攻撃範囲がないと成立しないとも思いました。なので、「もし自分がライガーゼロ シュナイダーユニットに乗ったら?」と考えながらアレンジを入れたりもしました。レーザーブレードの色合いも青とシルバーのメタリック塗装にしています。
――すべてのユニットに言えることですが、ゼロアーマーや素体状態から顔の印象もガラリと変わっていますね
小西氏:各パーツの特徴的・印象的な部分はより印象に残るようなアレンジに仕上げています。デザインを作ってみて、顔側面のユニットが「ライガーゼロ」をライオンたらしめる重要な要素だと思っています。これがないだけで印象が大きく変わりますね
――確かに「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」の素体状態では雌ライオン、ゼロアーマーでは雄ライオン的なイメージが強くあります
小西氏:鼻の膨らみなど意図的に残したデザインをしつつ、シュナイダーのデザインアレンジを作っていきました。
――イエーガー、シュナイダーは接近戦主体なので全身像よりも顔から飛び掛かってくる絵が強く連想されます。その点で「ライガーゼロ」の顔の絵力はすごく強いと思います。
小西氏:プロセスの中でやはり顔をいじりすぎると印象が変わってしまうことを学びましたね。
――その点でこれまでの「超合金」シリーズとは違ったアプローチが施されていますね。人型ロボットの場合、頭部が小さめというのもありますが、ディテールを加えてアレンジが加わるといった印象が強いですね
小西氏:一概には言えませんが、別ブランドの「METAL BUILD」などは顔とプロポーションとのバランスを大切にしてデザインをしています。ユーザーが持っているキャラクターの魅力を逸脱しないようにして、今回の商品ではそれに近いアプローチになっていますね。遊びの中でどれだけ今までない価値を生み出せるか、商品の大事なコンセプトにしつつユーザーにとって魅力的なデザインのアレンジ、プロポーションのバランス感を大事にしています。
――人型ロボットだと基本的に立っている状態で平面的な認識で、「ライガーゼロ」は走っているイメージでパースが利いていて顔の印象がより顕著に関わっている感じですね。
――続いて砲撃特化の「ライガーゼロ パンツァーユニット」についてお聞かせください
小西氏:デザイン的には重戦車をイメージしており、従来のライオン型ゾイドの印象と一線を画す魅力を持っているのがパンツァーユニットだと思います。
小西氏:本商品の「パンツァーユニット」も重厚感、重装甲のイメージを強調したデザインになっていますが、本体につけた状態でも躍動感あるポーズが取れるようにしております。
――「超合金」シリーズのダイキャストと合わせて、重厚感と躍動感が両立されていますね
小西氏:搭載火器を全弾発射するバーニング・ビッグバンから装甲解除はもちろんですが、走りながら攻撃しているアクションも再現できるようにしています。
――各部アーマーの展開ギミックも再現されて、より攻撃的な印象になりますね
小西氏:「超合金」シリーズでは玩具的な遊びの部分も大切にしておりまして、ただ展開するのではなくて内蔵されている小型ミサイルがせり上がってくる要素を入れています。ただカッコいいポーズを取るだけでなく、動かしている中で感じられるようにしております。そのため、パンツァーユニットはかなりプレイバリューがあるものになっています。
――「超合金」シリーズのギミック展開のノウハウが詰め込まれていますね
小西氏:遊んでいく過程の中で感じられるギミックとして連動展開を取り入れています。
――ここから塗装によって重厚感が増していくのが楽しみです
小西氏:差し色やマーキングを入れたり、今回マーキングもたくさん入れる予定でやはりパンツァーいいなと思いました。
――躍動感ある「ライガーゼロ パンツァーユニット」は可動フィギュアならではの楽しみ方ですね
小西氏:そうですね。僕自身、手にして遊んでみて楽しくなりました。子どもの頃、ゾイドで遊んでいた人たちにぜひ手に取って遊んでほしいです。
――重厚感を持ちつつ、縦横無尽に動くポーズができるのは魅力ですね。「ゾイド」の金属生命体という設定が「超合金」シリーズではより説得力のある立体となっています
小西氏:金属生命体というタカラトミーさんの「ゾイド」の魅力の根源に、2024年に50周年を迎えるBANDAI SPIRITSの「超合金」シリーズがコラボしているので、手に取っていただいた方に金属感と可動との両立を実感していただき「さすがコラボレーションするだけの商品なんだな」と絶対に思っていただけることを一番大事にしています。
――そのうえで玩具としての楽しみ方として、各アーマーを組み替えてユーザーの手でオリジナルの装着が楽しめるようになっていますか?
小西氏:もちろん、付属しているセット内容の中で組み換えは可能です。書籍の「ゾイドバトルストーリー」でもあったような突貫の装着形態をイメージして、自分の想像で遊ぶことができるので、ぜひ組み換えて遊んでほしいです。
――「ライガーゼロ パンツァーユニット」を象徴する背中のハイブリッドキャノンも存在感抜群の造形ですね
小西氏:元デザインに近い造形ではありますが、細かい部分でアレンジが加えられています。また、可動部分でのアレンジとしてシュナイダーのレーザーブレードのように柔軟に可動できるようになっています。真後ろに砲身を回すにできます。
――「後ろに回した状態で発砲して無理やり加速!」といった自分の中でストーリーが出来上がっていくのも可動フィギュアならではの遊びですね。
小西氏:タカラトミーさんのムービングキットとはまた異なる軸でゾイドの世界観に没入できる商品になっていると思います。
――「ゾイド」シリーズも、キットやアニメ、読み物など各媒体でストーリーが展開され、それぞれ同じゾイドでも違った活躍を見せています。今回の「超合金」シリーズでも新たなストーリーが生まれそうな感じがします
小西氏:そうですね。「ゾイド」それぞれに個性があって、可動ならではの魅力が出ていると感じますね。
――また「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」では「ユニットディスプレイ用パーツ」が付属します。こちらの魅力についてお聞かせください。
小西氏:ディスプレイパーツはアーマーのディスプレイだけでなく、アームパーツが付属します。こちらは「ゾイド」の世界観に没入してほしいなと思い、格納庫的なニュアンスを入れられないかなとアームパーツを入れました。ディスプレイパーツの支柱になっている部分に自由に位置を変えることができるので、アーマーの脱着や整備している様子をディスプレイできるようにしています。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。
小西氏:今回タカラトミーさんと「ゾイド」の商品を開発していく夢のようなプロジェクトに参加させてもらい、タカラトミーさんで「ゾイド」に長年携わってこられた方々と一緒に作ってきました。今回の商品は、合金玩具「超合金」ブランドならではの質感、本当の生き物のような躍動感ある可動の両立に重点を置いています。特徴的なCASを装着した状態でも動かして楽しめる今までにないようなCASの魅力を改めて感じられる商品となっていますので、ゾイドファンの方はもちろん「超合金」ブランドが好きなファンの方にも手に取ってもらいたいです。
――ありがとうございます。
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