【真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~】
4月発売予定
価格:14,080円(税込)
全長:約240mm
素材:PVC(非フタル酸)・ABS・鉄
原型製作 マリ:みしま、台座:西丸芳弘
8号機の台座にも注目!

今回レビューするのは、コトブキヤが4月に発売を予定しているフィギュア「真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」である。劇場アニメ「シン・エヴァンゲリオン劇場版」において、最後の決戦に赴くマリの姿を再現したフィギュアだ。
真っ白な最新プラグスーツに包まれたスレンダーな肢体。マリならではの余裕を感じさせる小さく笑みを浮かべた口元と涼やかな目元。女性らしさも感じさせつつ、カッコイイ魅力的なフィギュアである。今回、発売に先がけてサンプルに触れることができた。そのディテールに迫っていきたい。
明るく、不敵なマリの雰囲気を再現したスタイリッシュでカッコイイフィギュア
まず最初にモチーフとなるキャラクター「真希波・マリ・イラストリアス」を紹介したい。なお、「エヴァンゲリオン」におけるキャラクターは作品の印象、資料や考察、分析などで人によって変わってくるところがあるので、こちらは"筆者の印象と解釈"が入っている。
マリは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」に登場する。TVシリーズ、及び劇場版(旧劇場版とも)には登場しない”新キャラクター”である。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」で初登場後、マリは「新劇場版」シリーズを象徴するキャラクターとして、「Q」、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」とその存在感を強めていく。
マリは主人公の碇シンジ、そして綾波レイ、式波・アスカ・ラングレー同様、エヴァンゲリオンに搭乗することができる。しかし劇中でシンジやアスカ、レイがある程度出自やなぜエヴァに乗れるかなどが語られている一方で、マリはどういった過去を持ち、何が目的なのかが語られていない。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」において、登場人物の多くが何らかの自我の葛藤を抱えている中で、マリはそういった悩みを見せず、明るく、しかし何か秘めた想いを抱えている様にも見える。それでいながら表層的にはマリは前向きで、そして間違いなく「戦い(エヴァの操縦)のプロフェッショナルだ。
マリは初登場時「エヴァンゲリオン 仮設5号機」により封印から目覚めた第3の使徒を撃破、その後アスカに代わりエヴァンゲリオン2号機に搭乗、"裏コード・ビースト"を発動させ第10の使徒に立ち向かう。それから14年後の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」においては、アスカや葛城ミサトらとともにNERV壊滅を目的とする組織「ヴィレ」に所属し、エヴァンゲリオン8号機で活躍する。
マリはアスカを"姫"と呼び、戦いにおいてはアスカの2号機のバックアップを担当しながら、自身の戦闘力はひょっとしたらアスカより上ではないかというような戦いぶりを見せる。絶望的な状況でも軽口を絶やさず、なぜか昭和の歌謡曲を好み、時にそれらの歌を口ずさみながら戦う。そして最終作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では大きな役割を担うこととなる。とても印象的で魅力的なキャラクターだ。
フィギュア「真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」は、劇場アニメ「シン・エヴァンゲリオン劇場版」において、最後の決戦・ヤマト作戦に参加するために用意された最新のプラグスーツを身に纏っている。アスカは「死装束」と評したが、決戦に向かう純白の衣装はそういった意味も込められているかもしれない。劇中ではプラグスーツの腰や背中のラインが虹色に輝く描写があったが、フィギュアでは落ち着いた深い紺色のラインになっている。
これまでの物に比べ、ディテールが少なく、シンプルさがある新プラグスーツはなめらかで着用者の体のラインをはっきりと浮かび上がらせている。フィギュアではプラグスーツの表面はパール塗装がなされ、ライトを当てるとキラリと光を反射する。
そしてやはり"顔"だろう。マリは悲壮感や、影を感じさせないキャラクターだ。余裕を感じさせる涼やかな目元、笑みを浮かべているようにも見える口元の描写、アンダーリムの赤い眼鏡と、アニメのマリそのままのイメージできちんと立体化されている。強い意志を感じさせる眉の表情も良い。どこか不敵な印象を受けるマリというキャラクターをフィギュアで見事に表現している。

様々な角度から。光で眼鏡が反射するのも楽しい
コトブキヤのフィギュア「真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」はかなりアニメに近い印象を受けた。立体化に際し原型師や企画者は様々なイメージを盛り込むが、本製品はアニメのマリがそのまま目の前にいるという実感がある。フィギュアだからこそ様々な角度で眺めてみたいところだ。
マリに関しては、やはり眼鏡が良い。角度を変えることで眼鏡がキラリと光り独特の表情付けができる。口角が上を向く口元も良いし、顔の横に添えられた繊細な手の表情も良い。マリがいればなんとかしてくれる、どんなピンチでも彼女は支えてくれる、そう言う頼もしさと、強さを感じさせてくれる。劇中のイメージそのままの造型は、彼女の作中の活躍をしっかり思い出させてくれる。
次ページではフィギュアのディテールにさらに迫っていきたい。また、背景に布を置くなど、撮影も工夫していこう。
手指の表現から足のつま先まで細部をチェック! 8号機の台座にも注目!
アニメの雰囲気を見事に再現したコトブキヤのフィギュア「真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」。こちらではより細かくディテールに迫っていこう。
このフィギュアの大きな魅力はやはりシルエットだ。女性としてのラインの柔らかさ、丸みを感じさせる全身のなめらかな曲線は光沢を放つプラグスーツによってとても魅力的に演出されている。
見上げる感じで撮影、女性らしい柔らかいシルエットが印象的だ
そして足だろう。太ももから、膝、ふくらはぎ、足首はすらりと長く伸びていて、こちらも目が惹きつけられる。くるぶしのはっきり浮きでる描写からピンクの靴底……。その体形をはっきり主張させるプラグスーツの魅力をこちらでも感じる。
台座に膝をついたポーズで、右足と左足がそれぞれ別な形でシルエットを形作っているところもポーズの面白さだろう。スーツは折り曲げてもしわが寄らないようになっているというところは未来感を感じさせる。


胸回りの造型も見所のひとつ。プラグスーツに特徴的なラインが女性らしいフォルムを際立たせ、複雑に変化する身体の面構成をアピールしている。
髪の表現にも力が入っている。バックパックの造型も見逃せない
そして台座である。台座は彼女の愛機・エヴァンゲリオン8号機を表現している。長い間風にさらされた彫像のような荒々しい汚し塗装が雰囲気がある。幾つも目を持ち、厳つい雰囲気もある8号機の顔は、マリの卓越した戦闘力を表現しているかのようにも感じる。8号機はコトブキヤでは「エヴァンゲリオン改8号機γ」のプラモデルも発売しているので、一緒に並べるのも良いだろう。
8号機をかたどった台座。荒々しい汚し塗装がカッコイイ
他にも8号機に伸ばされた右手の指先や、地面に設置している左足のつま先、肩から背中のプラグスーツのメカニカルな描写など、細かいところを1つ1つチェックできるのがフィギュアの楽しみだろう。さらに本フィギュアは1月に発売された「式波・アスカ・ラングレー ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」と一緒に並べることを考えて設計されている。ファンなら両方そろえたいところだ。
布や小道具を背景にして写真を撮ってみる
最後は黒バック以外の写真も撮ってみた。いくつかの布に加え、ちょっとベタとも言えるが、造花も配置してみた。造花は100均ショップなどでも入手でき、生花と違って保管が簡単だ。本物の花と同じサイズなのでフィギュアと並べるとオーバースケールだが、絞りを調整し、背景をぼかす感じで使用すると良い感じで撮れる。
マリにぴったりな背景はどのようなものか、どう見せると良いのか……。このフィギュアはそういった「良い写真を撮りたい」と強く思わせる魅力がある。
フィギュア「真希波・マリ・イラストリアス ~深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツver.~」は魅力的なフィギュアだ。本フィギュアをきっかけに「エヴァンゲリオン」という作品や、「真希波・マリ・イラストリアス」というキャラクターに興味を持つのも良いだろう。企画者がこのフィギュアにどんな思いを込めたのか、作品を見ることで一層わかるだろう。
女性らしさとカッコ良さを併せ持った新プラグスーツのデザインとポーズ、不敵さを感じさせるマリの表情……。全体のシルエット、細部のディテール、どちらもチェックするほどに満足感を感じさせるフィギュアである。ぜひ手に取って欲しい。