
第2回は「S.H.Figuarts ロキ(アベンジャーズ)」が魂ウェブ商店にて6月7日(日)まで期間限定受注中の『ロキ』について、大のロキフリークであるという奈良夏子さんが、独自の視点から熱く語ります。
ロキ。ヨトゥンヘイム生まれ、アスガルド育ち。
赤ん坊のころ、アスガルドの王オーディンに拾われた遺児ロキは、ソーの弟として育てられた。
豪快ではつらつとしたソーに対し、狡猾でクールなロキ。
成長した2人はやがて王位をめぐって争うことになるが、2人ともに王位継承のチャンスがあるとされながら、ロキは王には選ばれなかっただけでなく、自分が王家の実子ではないことを知らされる。
2011年、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で『マイティ・ソー』として映画化される際、金髪マッチョの雷神ソーにクリス・ヘムズワースが、黒髪で色白なロキにトム・ヒドルストンが抜擢された。クリヘムは身長190cm、体重100kg、一方のトムヒは身長188cm、82kgで、3cm前後しか身長は変わらないのに20kg近くも体重が違うという体格差。
実は同い年という説もあるほど、年齢はさほど変わらない兄弟(ちなみに実年齢で言うとトムヒのほうが3つ年上)。
この薄幸な生い立ちに、やや困り顔のトムヒのビジュアルが相まって爆誕したロキというキャラクターに、全地球人の母性は爆発した。
赤ん坊のころ、アスガルドの王オーディンに拾われた遺児ロキは、ソーの弟として育てられた。
豪快ではつらつとしたソーに対し、狡猾でクールなロキ。
成長した2人はやがて王位をめぐって争うことになるが、2人ともに王位継承のチャンスがあるとされながら、ロキは王には選ばれなかっただけでなく、自分が王家の実子ではないことを知らされる。
2011年、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で『マイティ・ソー』として映画化される際、金髪マッチョの雷神ソーにクリス・ヘムズワースが、黒髪で色白なロキにトム・ヒドルストンが抜擢された。クリヘムは身長190cm、体重100kg、一方のトムヒは身長188cm、82kgで、3cm前後しか身長は変わらないのに20kg近くも体重が違うという体格差。
実は同い年という説もあるほど、年齢はさほど変わらない兄弟(ちなみに実年齢で言うとトムヒのほうが3つ年上)。
この薄幸な生い立ちに、やや困り顔のトムヒのビジュアルが相まって爆誕したロキというキャラクターに、全地球人の母性は爆発した。
『マイティ・ソー』に登場するやいなや、アメコミ映画のヴィランとしてはかつてないほどの人気を博したロキが、MCUにおいて最も輝いていたといえる『アベンジャーズ』(12年)バージョンのフィギュアが、ついにS.H.Figuartsシリーズに登場したわけです!

「最も輝いている」と言えるのは『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17年)の冒頭、オーディンになりすましたロキが、宮殿に建てた黄金の全身像からも明らか。大きな大きな角がついたヘルメットはロキ本人のお気に入りでもあります。
さて、弟コンプレックスをひどくこじらせた末ソーへの恨みが募り、アベンジャーズに対抗した最初のヴィランとなったロキですが、映画『アベンジャーズ』での最高オブ最高に輝いていた瞬間といえるのは、なんといってもドイツに現れたシーンでしょう。
S.H.Figuartsでは、このシーンで地球人を跪かせた「“ニール!”のポーズ」などをキメることも可能なのですが、そのポイントとして杖が2種類付いているというところが大きいです。ロキが『アベンジャーズ』のときに持っていたこの杖、通常の長さは推定1メートルほど。これが、民衆の前に姿を現したときや、ソーと戦うときなどに、矛(ほこ)のかたちに変化させていたのです。自らを大きく見せることに余念がない……こういったところが「トナカイ」呼ばわりされる所以かもしれない。でも、これもガタイのいい兄を持った男の弟コンプレックスと思うと少し切ないですね。
S.H.Figuartsでは、このシーンで地球人を跪かせた「“ニール!”のポーズ」などをキメることも可能なのですが、そのポイントとして杖が2種類付いているというところが大きいです。ロキが『アベンジャーズ』のときに持っていたこの杖、通常の長さは推定1メートルほど。これが、民衆の前に姿を現したときや、ソーと戦うときなどに、矛(ほこ)のかたちに変化させていたのです。自らを大きく見せることに余念がない……こういったところが「トナカイ」呼ばわりされる所以かもしれない。でも、これもガタイのいい兄を持った男の弟コンプレックスと思うと少し切ないですね。

ところで1作目の『マイティ・ソー』では、コンプレックスと言いつつ“弟キャラ”をキープしていたロキ。常にソーについて歩き、「兄上兄上~」と言い寄ってそそのかす。父に対しては「自分だってすごい」「認めてほしかっただけだ」と、遅れてきた反抗期を炸裂させたが、最終的には家族と決別。ロキを決定的に闇落ちさせた。そして『アベンジャーズ』でソーと因縁深い地球を征服しにやってくるわけですが、本作ではとにかく人間離れした姿がとっても素敵。ソーにヘリから連れ去られ岸壁にゴリゴリ押し付けられたりしても傷ひとつ付かないといったタフさ。S.H.I.E.L.D.に連行されるシーンひとつ取っても、取り囲む人から頭ひとつ飛び出ていてオーラ満点。あと個人的には冒頭、ロキがS.H.I.E.L.D.の研究所から逃亡するシーンがお気に入り。トラックの荷台にスッと乗り込んで、たぶんこれ本人はトラックのことを馬車か何かと同じと思っているから、ロキは「運転させている」と思っているだろうけど、こっちからは明らかに「運ばれている」ようにしか見えない。神々と人々のカルチャーギャップを感じるかわいいシーンでした。

すっかり愛されキャラと化しているロキですが、悪役としての所業はけっこうすごくて、『アベンジャーズ』では宇宙から軍団を率いてニューヨークを壊滅したことはもとより、いちばんの悪行といえば、アベンジャーズの仲介役、コールソン捜査官を手にかけたことだろう。コールソンを殺した! これほど言い逃れできないくらいの直接的なひどい事件、他にあるだろうか。だけど観客は、コールソンの死を悲しみはしたものの、ロキを恨むものはいなかったはず。これぞ、ロキのスーパーパワー、“母性的な何か”である! 私(筆者)自身、実はいちばん好きなキャラクターはソーなので、ロキの所業に関しては怒っていい立場にあると言っていいと思うんです。いつもソーを騙し、怒らせ、死んだふりをしては悲しませるロキ……ソーを困らせるなんてひどい! そんなこと一度も思ったことない。むしろロキに肩入れしてソーのことときどき「兄上」と呼んでしまう。ソーの生きがいでいてくれてありがとう。ソーのファンはみんなそう思っていると思います。
そうして映画の最後には、裁きを受けるため兄上に猿ぐつわと手錠をかけられ、故郷アスガルドへ帰ってゆきました。今回のフィギュアには手錠と、猿ぐつわをはめられた頭部も付いています。ちなみに頭部は通常バージョンに加え、トムヒファンにはおなじみの“エヘ顔”も付属するというお得仕様! トムヒ演じるロキの魅力がまんべんなく反映されています。
そうして映画の最後には、裁きを受けるため兄上に猿ぐつわと手錠をかけられ、故郷アスガルドへ帰ってゆきました。今回のフィギュアには手錠と、猿ぐつわをはめられた頭部も付いています。ちなみに頭部は通常バージョンに加え、トムヒファンにはおなじみの“エヘ顔”も付属するというお得仕様! トムヒ演じるロキの魅力がまんべんなく反映されています。


ヴィランという立ち位置でありながら、ロキはヒーローであるソーの引き立て役だったかというと決してそうではなかった。トニー・スタークら地球人にトラウマを植え付けた敵役としての功績も申し分ないのだが、トムヒのロキはキャラクターに見事にマッチしただけでなく、1人のキャラクターとして回を重ねるごとに存在感を強め、あまりの魅力に登場シーンがどんどん増えていったという。製作陣も「(『ソー』のシリーズは)ロキの物語でもある」と語っている。
ちなみにソーとロキのキャラクターについては、1作目から『アベンジャーズ』に至るまで、『マイティ・ソー/ダークワールド』(14年)の特典映像に詳しい。しかも『ダークワールド』では主役をさしおいてトムヒが音声解説に参加するなど、その存在の重要性がうかがえる。『アベンジャーズ』を経て本性を表したロキがツンとデレの狭間で揺れまくる『ダークワールド』は、唯一自分の味方だった母相手にも素直になれず、ソーとは意地を張ってお互いを信頼しきれず、いがみ合って言い争ったりふざけたり、仲良くケンカしながら共通の敵に立ち向かう。ロキというのは北欧神話に登場するいたずらの神様なので、常に人を騙し、陥れることで勝ち上がってきたトリックスター。MCUにおいてもその設定は活かされていて、ときに兄を騙し、人を操り、また兄を騙したりして生きてきた。実はそれは育ての母親フリッガ(レネ・ルッソ)がロキに引け目を負わせないよう、特技のひとつとして教え込んだものだったのだが、それを会得してすっかり自信がついたころに、自分自身が偽りの身分だったことを知るとは、なんという皮肉だろう……。とにかく親父に似て自信満々なソーにひどくコンプレックスを抱えていたのだが、実はMCUはロキがそれを克服し、兄弟がお互いに認め合うまでの物語でもありました。
ちなみにソーとロキのキャラクターについては、1作目から『アベンジャーズ』に至るまで、『マイティ・ソー/ダークワールド』(14年)の特典映像に詳しい。しかも『ダークワールド』では主役をさしおいてトムヒが音声解説に参加するなど、その存在の重要性がうかがえる。『アベンジャーズ』を経て本性を表したロキがツンとデレの狭間で揺れまくる『ダークワールド』は、唯一自分の味方だった母相手にも素直になれず、ソーとは意地を張ってお互いを信頼しきれず、いがみ合って言い争ったりふざけたり、仲良くケンカしながら共通の敵に立ち向かう。ロキというのは北欧神話に登場するいたずらの神様なので、常に人を騙し、陥れることで勝ち上がってきたトリックスター。MCUにおいてもその設定は活かされていて、ときに兄を騙し、人を操り、また兄を騙したりして生きてきた。実はそれは育ての母親フリッガ(レネ・ルッソ)がロキに引け目を負わせないよう、特技のひとつとして教え込んだものだったのだが、それを会得してすっかり自信がついたころに、自分自身が偽りの身分だったことを知るとは、なんという皮肉だろう……。とにかく親父に似て自信満々なソーにひどくコンプレックスを抱えていたのだが、実はMCUはロキがそれを克服し、兄弟がお互いに認め合うまでの物語でもありました。

というわけで、『ダークワールド』の最後には死んだふり攻撃をしてロキはアスガルドに戻り、オーディンになりすまし(ロキを讃える黄金の像を建設させた上で)王の座に就く。そしてタイムラインとしてはシリーズ最後の登場となる『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17年)。タイカ・ワイティティ監督の手腕もあってシリーズ中でも極めてコミカルな作品だが、ひょんなことから別の星に迷い込み、一度半殺しにされた天敵ハルクとの再会や「助けて」作戦など数々の珍プレーを経て、対立していた義兄弟2人が共闘し、祖国アスガルドを救う。2人は和解し、ロキは王となったソーに「似合ってるよ」と声をかける。「ここにいるよ」と。常にソーを避けていたロキが、幻影でも変装でもなく、本人がソーに歩み寄ったのは、1作目の序盤にソーをそそのかしたとき以来。このラストはMCUきっての感動シーンだった。その後ロキは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18年)の冒頭でサノスに殺されファンは絶望したものだが、続く『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19年)で別の世界線で生きているということが示された。それでもやっぱり死んじゃった世界線は存在するんでしょ……という悲しい気持ちは拭えないのだが、配信の単独ドラマシリーズも控えていることだし、ロキはみんなの心の中に生き続けるということで……。

そういえば今回のフィギュア、『アベンジャーズ』のロキであるということはつまり、『エンドゲーム』のロキでもある!
だからオプションにはしっかり、四次元キューブことテッセラクトも付いているのか!
なるほど!! 夢が広がるこのロキの輝けるフィギュアですが、ソー好きの方はご自宅にあるムジョルニアの下敷きにしてさしあげて、「ハンマーの重みで動けないロキ」というおなじみの姿を再現することもできるでしょう。
私はラジコンカーでも買って、トラックの荷台で運ばれるロキを再現して遊ぼうかな!
だからオプションにはしっかり、四次元キューブことテッセラクトも付いているのか!
なるほど!! 夢が広がるこのロキの輝けるフィギュアですが、ソー好きの方はご自宅にあるムジョルニアの下敷きにしてさしあげて、「ハンマーの重みで動けないロキ」というおなじみの姿を再現することもできるでしょう。
私はラジコンカーでも買って、トラックの荷台で運ばれるロキを再現して遊ぼうかな!
Text 奈良夏子(『映画秘宝』編集)
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