今回は、HG 1/144 XVX-016 ガンダムエアリアルのレビューをご紹介します!
HG ガンダムエアリアルは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する主人公機『ガンダムエアリアル』の1/144スケールモデルキットです。主人公機の近未来的な機体形状を新規造形で再現。クリア成型色やインモールド成形、ダブルサイドシールといった技術により、特徴的な発光表現を複数パターンで再現できるキットになっています。シールドは11個のビットステイヴに分離し、全身各部へのマウントやダイナミックなガンビット展開が可能。価格は1,430円(税込み)です。
GUNDフォーマットを採用したモビルスーツ「GUND-ARM」の1機で、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の主人公「スレッタマーキュリー」が搭乗するMS『ガンダムエアリアルがHGでキット化。ガンビットで構成されたエスカッシャン、ビットステイヴを各部にマウントするビットオンフォームといった特徴的な武装やギミックを持つキットになっています。
成型色はホワイトをベースに、全身各部にブルー、イエロー、レッドを配色した定番ガンダムカラー。全身各部のシェルユニットはクリアブラック成型色パーツでの再現です。
HGガンダムルブリス(以下、ルブリス)と同じくダブルサイドシールが付属。シェルユニットやシールドの一部を補いますが多くはありません。各部ともパーツで細かく色分けされているため、殆ど塗装の必要がなく、素組みで十分な仕上がりになっています。
ダブルサイドシールは表面印刷と裏面印刷の両方を含んだシールで、シェルユニットに貼るとパーツとの兼ね合いによる奥行きや透明感を演出することができます。折り目が付きにくいのも特徴の一つ。
胸部シェルユニットの発光状態を再現するインモールド成形パーツが付属。インモールド成形とは、フィルムに印刷された模様を、金型内に挟み込んで樹脂を射出し、絵柄を転写する成形方法です。ABS素材で、表面は綺羅びやかな発光状態、裏面はシンプルに真っ黒な状態。
シルエットはルブリスに似ていますが、各部の形状はかなり違っています。関節や内部パーツにはグレー成型色のKPSが使用されています。
ポリキャップは不使用。関節はKPSパーツ構成で強度は高めです。脚部が細身で足底の接地面もあまり広くはないですが、負荷のかかる装備はなく、関節強度も高いので自立は安定しています。
シールド、ビームライフル、ビームブレイド用エフェクトパーツ、ビームライフル用ジョイントパーツ、ビームサーベル刃✕2、ダブルシールによる発光状態・非発光状態が再現可能な胸部クリアパーツが付属。
HGガンダムルブリス(以下、ルブリス)と比較しながら各部を見ていきます。
頭部はルブリスに似ていますが、額にはガンダム定番のV字アンテナが造形。クリアパーツを交えた複数パーツ構成で緻密に再現されています。額のバルカンも別パーツによる色分けを再現。
とさか前面のセンサーやツインアイはグリーン成型色パーツでの色分けで、それぞれ表面にシールを貼るようになっています。額のシェルユニットにはモールドが造形されているので塗装する場合もし易いかと。
シールはグリーンとレッドのシールが付属し、チョイスが可能。
胸部をルブリスと並べて比較。シルエットは良く似ていますが、胸のシェルユニットは左右に分割され、エアインテークもスリット状のモールドが入ったタイプになっています。配色も特有のガンダムカラーでヒロイックさがありますね。
胸部には簡易的な内部フレームが造形。首はボールジョイント接続で前後左右フレキシブルに可動します。肩は左右に展開可能。
胸部シェルユニットはルブリスと同じ構造ですが、ルブリスが1枚構成なのに対し、エアリアルでは左右2枚パーツ構成となっています。
インモールド成形パーツによる発光状態と、クリアパーツにダブルサイドシールを貼っての発光状態、非発光状態がチョイス可能です。
インモールド成形パーツは表面での発光が強調されていますが、ダブルサイドシールを使用した場合は少し奥で輝いているような雰囲気を再現することができます。
腰部をルブリスと比較して。小型ながらもルブリスにはないフロントアーマーが造形。リアに装甲はなく軽装です。
フロント、サイドアーマー裏にモールドは共に適度に展開可能です。関節各部はルブリスと共通で組み替え可能。自分好みのカスタマイズを施すことができます。
腕部をルブリスと比較して。デザインは似ていますが、エアリアルのほうが比較的軽装。細身ながらもメカニカルに造形されています。
二の腕、前腕共にグレーとホワイトのパーツを組み合わせる構造で、合わせ目も各部ともモールド化。前腕側面にはハードポイント(3.0mm穴)が造形されています。
ショルダーアーマーも適度なパーツ数で構成されていますが、側面の一部装甲に合わせ目ができます。分解できるので合わせ目消しはラク。上部のラインモールド(シェルユニット)はシールでの色分けで、色付きと色なしをチョイスし、発光状態と非発光状態を再現することができます。
脚部もルブリスとシルエットは同じ。大腿部は太く、下に向かって細身になるスタイルです。ただし膝にバーニアはなく、大腿部は前側にシェルユニット、膝と大腿部後部には黄色のスリットフィン型スラスターが造形されるなど、各部がメカニカルにデザインされています。周りもグレーで色分けされるなど作りが緻密です。
脚部はKPSによる内部フレームが造形。
大腿部、膝から下共に左右の組み合わせで後部に合わせ目ができます。内部パーツを挟み込む構造で後ハメなどは手間がかかりそうなので、シンプルに段落ちモールド化したほうが良さそうです。大腿部側面には3.0mm穴が造形。
大腿部のシェルユニットもシールでの色分けで、ショルダーアーマーと同じく色付きと色なしがチョイス可能。発光状態と非発光状態を再現することができます。パーツの裏面からシールを貼るので、貼り替える場合は一旦バラす必要があります。
膝関節はヒンジ接続ですが、白いパーツで左右から挟み込むためしっかりと固定されます。
ソールはコンパクトなデザイン。くるぶしは肉抜きっぽい作りで少し気になりますが、足底は肉抜き穴を利用したセンスの良いモールドが造形されています。
つま先と踵はロール可能。幅広くロールするため、しっかりと接地させることができます。
バックパックをルブリスと並べて。エアリアルは比較的コンパクト。左右にサーベルホルダーを装備する典型的なガンダムタイプですが、曲状で近未来的なデザインになっています。サーベルホルダーに可動ギミックはなし。
中央のシェルユニットはクリアパーツの内側からシールを貼っての再現で、貼り替えることで発光、非発光状態を再現することができます。
バックパックはシンプルな2ダボ接続。バックパックには裏打ちパーツが造形されています。一部が肉抜き穴ですが組み合わせると隠れます。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。ルブリスと同様に大きくも小さくもなく、HGの中では中間サイズです。
前日譚「PROLOGUE」に登場したHGガンダムルブリスと並べて。全体的なシルエットや一部形状など、似ている部分は多いですが、各部を照らし合わせるとかなり違っていることが分かります。ルブリスのほうがメカニカル感がやや強め。
歴代ガンダムのHG(上画像:HG RX-78-2ガンダム、HGフリーダムガンダム。下画像:HGガンダムエクシア、HGガンダムバルバトス)キットと並べて。ガンダムエクシアに一番近いかなという印象。時代が経つごとに丸みを帯びた近未来的な容姿に変わっていきますね。
首がフレキシブルに可動するので、頭部は幅広く上下させることができます。左右へもラクにスイングが可能。
ショルダーアーマーが広く展開することで、腕をY字以上に上げることができます。肘は1重関節ですがV字まで深く曲がります。
肩は前後とも適度にスイングしますが、前方へは引き出しギミックがあるため、幅広く展開させることができます。
腹部がボールジョイント接続ですがあまり可動せず、上半身はわずかに前後する程度。左右へも少し傾く程度です。
腰は干渉なく360度回転可能。アクションベースやスタンドへは、通常通り股間部に3.0mm軸を差し込んでのディスプレイとなります。
腰アーマーが軽装なので、前後開脚は干渉なく幅広く展開可能。前方へは水平以上に上げることができます。
膝は2重関節で深くまで曲げることができます。膝の装甲は左右の組み合わせですが合わせ目は段落ちモールド化。
足首は前後左右とも幅広く可動させることができます。
左右への開脚も水平以上に幅広く展開させることが可能。
内股は殆どできず、がに股もわずかに開く程度です。
立膝はきれいな姿勢で再現することができました。
可動域の総括としては、全体的に可動域が広く、各部とも柔軟に可動させることができます。多少足首がロールしなかったり内股がに股がぎこちなかったりしますが、普通にポーズを取らせる分には問題なさそうです。柔軟でストレスフリーなポージングが楽しめそうですね。
ビームライフル。ガンダムエアリアル用の携行火器になります。
モナカ割の簡易的な作りで上下の一部に合わせ目ができます。
センサーはグレーのシールを貼っての色分けです。特に銃口のような開口された箇所はなし。
ジョイントパーツが付属し、3.0mm軸によってバックパックや腰部などにマウントさせることができます。
ルブリスと同じく付属のエフェクトパーツをビームライフル先端に組み付けることで、ビームブレイドを再現することができます。しっかりと固定され、ポロリもなし。
シールド。複数のビットステイヴの組み合わせによって構成された武装になります。一部シールによる色分けですが、ホワイト、ブルー、イエロー、グレーと多数の成型色パーツの組み合わせで細かく再現されています。
裏面はスリットフィンモールド(スラスター?)の入ったグレー成型色パーツでの再現。このパーツによって各部ビットステイヴをしっかりと固定させています。
シールドは全11個のビットステイヴに分解可能。各部がグレーのパーツにしっかりと組み付けてあるので分解には少し手間がかかります。ですがその分シールド状態でポロリなどなく取り扱うことができます。
ビットステイヴを一通り見ていきます。シールド中央上のパーツはブルー成型色のビットで、表面の一部を白いシールで色分けします。シールド中央のパーツは白成型色のビットで、一部が青いシールでの色分け。
シールド左右のビットは白いパーツとブルーとイエローのパーツで構成され、分離が可能。シールド中央下部のビットは白成型色のシンプルなビットになります。
シールド下部左右のビットは縦長で、ブルーとホワイト、グレーの成型色パーツで構成されています。グレーのビットは展開式のリヴ接続で分離が可能。内側はそれぞれ肉抜き穴です。
グレーのビットはビームライフルの先端に組み付けることで、ロングバレルのビームライフルに変化します。出力ブーストによる高火力化と共に射撃精度が向上するとのこと。
ビームライフルとシールドを装備して。
ビームライフルは通常の握り手で保持します。トリガーに指を添えるような表現はありませんが、グリップとハンドパーツとの間に隙間もなくしっかりと保持させることができます。
シールドも前腕にしっかりとダボ固定されているので全くポロリなどのストレスがありません。大柄な割にあまり干渉しないのと、ビットステイヴもガッチリと組み付けているのでかなり取り扱いがラクです。
シールドを分解することで展開するビットステイヴは、ガンダムエアリアルの全身各部に組付け可能。ビットオンフォームを再現することができます。
ビットオンフォーム状態をいろんな角度から。ビットステイヴを機体各所のハードポイントに接続することで、ビット本体への電力や推進剤の急速補給が可能になり、エアリアル自体も機動力や防御力の性能が向上するとのこと。
ビットオンフォームによって容姿がよりルブリスに近づいたようなデザインに変化。細身だったエアリアルにちょっとした重厚感が生まれます。最初期の主人公機にこれほどのギミックが搭載されているのは嬉しいですね。
青と黄色のビットは肩部にマウント。ショルダーアーマーが華やかになります。特に可動ギミックはありません。大腿部には白いビットをマウント。大腿部にボリューム感が生まれます。
左右前腕には形状の異なる白いビットをマウント。ガントレットや小型シールドのような武装になりそうです。
シールド先端のパーツと中央下部のパーツは組み合わせることでリアアーマーにマウント。バインダー状の装備ユニットになります。
ビットオンフォームでビームライフルを装備して。
各部にビットステイヴを装備したことで、ポージングにもダイナミックさが出てきます。全体的に関節強度が高いので、ポーズを取らせるとしっかりと固定されますし、姿勢が崩れたりすることはありません。取り扱っていると多少ショルダーアーマーと足首が外れますが、頻度としては少なめ。
ビットオンフォームだととにかくポーズがかっこよく決まります。これだけいいと劇中での活躍が楽しみになってきますね。ビットステイヴは肩が少し外れるくらいで他はしっかりと固定されてポロリもなかったです。
ビームブレイドのエフェクトパーツを組み付けて。シャープな波状エフェクトで切れ味の良さを感じさせます。
グレーのビットをビームライフル先端に組み付けてロングバレル仕様に。
ビームサーベル刃はルブリスと同じクリアブルー成型色。ただしルブリスとは異なり、ビーム刃が薄型タイプで柄とは角型ダボ接続となっています。クリアブルー成型色パーツはブラックライトで照らすと少しは発光するっぽいですが微妙でした。
ビットステイヴは一部に3.0mmダボがあるので、それを利用してディスプレイさせることができます。グレーのビットはディスプレイできるようになっていないので、アームなどに無理やり組み付けるなどしてディスプレイさせています。専用のスタンドなど発売されるといいですね。
頭部や全身各部のシェルユニットシールを貼り替え、シェルユニットの非発光状態で全身から。通常の発光状態とは異なる静的なスタイルになっています。
ツインアイが赤く輝き、全身各部のシェルユニットも非発光でクールに演出。起動直後のようなシーンを再現することができます。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。現代のガンプラの品質をそのまま反映させた形でクォリティが高く、緻密なディテールでメカニカル。可動も柔軟でポージングも自由度が高く、新しいガンダムシリーズの主人公機として申し分ないキットになっていると思います。インサート成形やダブルサイドシールといった技術で、発光、非発光状態への変換がしやすいのもいいですね。
気になる点は殆どないですが、一般的なガンプラに比べて足首など、動きが異なる部分があるので、少し慣れないというか、ぎこちなさを感じるようなところがありました。それと部分的に合わせ目ができる箇所があるので、塗装製作する場合はうまく処理したいですね。
安価でありながらこれだけの構造、ギミックが再現されているのは優秀で、全身にビットステイヴを装備すると雰囲気がかなり変わってかっこよくなります。もちろんシールドとしてもサイズ感があってしっかりとした演出ができますし、惜しみないギミックでポージングバリエーションが多彩。これだけ充実したキットなので、劇中での活躍も楽しみですね。