「自分がザクを作るならこの要素を盛り込みたかった」、前田氏の強い想いを実現 まず最初に質問したのは本商品のシリーズ「GFFMC」と、「METAL BUILD」の違いだ。どちらも高級フィギュアブランドであり、金属パーツを使用している。両シリーズの違いは何だろうか?
前田氏は「『GFFMC』はメカデザイナーのカトキハジメ氏プロデュースというところが最大の特徴です」と語った。カトキハジメ氏は「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」のガンダム試作3号機をデザイン、その後も様々なMSをデザインし、プラモデル、フィギュアのデザインも手がけてる。プラモデルの「Ver.Ka」、そして完成品フィギュアで「ROBOT魂(Ka signature)」と、自身の名を冠したシリーズもある。「GFFMC」ではカトキ氏の立体物としてのこだわりが詰まっているという。
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武器や握り手など付属品は多い。本体は塗装が色移りしないようにしっかり梱包されている
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カトキ氏のメカデザイナーとしての特徴に“立体化への深い理解”がある。立体化だけでなく、プラモデルやフィギュアとして商品化された際、どのようにギミックを楽しむのか、どのようなオプションパーツを用意するとプレイバリューが広がるかなど、独特の視野でデザインを行なう。その姿勢がファンの心を強く掴んでいるのだ。「GFFMC」はそのカトキ氏のアイディアを積極的に取り入れたうえで、全高約18cmという大型アイテムだからこそ表現できるギミックが多数盛り込まれている。“カトキハジメ氏の想いとアイディア”が「GFFMC」にはつまっているのだ。
「GFFMC MS-06C ザクII C型」や、「GFFMC シャア専用ザクII」は、安彦良和氏のコミック「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」、そしてそのアニメ作品に登場するザクIIをモチーフとしている。カトキ氏はアニメ版「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」でのデザインを担当しており、この時に立体化をすることを視野に入れた様々なアイディアが盛り込まれた。「GFFMC ザクII C型」はそのカトキ氏の想い、企画者としての前田氏のこだわりが詰まった商品となっているのだ。
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金属パーツの使用箇所が確認できる試作品と並べる
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特に凝ったギミックとなっている膝の可動。腿の上側の装甲板、膝裏の装甲、内部パーツが連動し、メカニカルな雰囲気を演出する
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頭部パーツを開けることでモノアイを動かせる
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その話を聞いた上で「GFFMC ザクII C型」を見ると納得させられる部分が多い。胸の両側が可動することで腕をさらに前に突き出せる構造。首の引き出し、腰関節のフレキシブルな構造により身体を前にかがめたり反らすことができる設計、腰のアーマーの分割、股関節の付け根が可動する設計や、膝を深く曲げられる構造など、様々なところで「ROBOT魂 シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」を触り、驚かされたときのことを思い出させられた。
「シャアザクはこれまでもたくさんの商品があり、様々な解釈で立体化が行なわれている。優れた商品も多い中で、当然『GFFMC シャア専用ザクII』はそれらと比較されるわけです。しかし実はこの全高約18cmのサイズの完成品では商品化はほぼされていなかった。そこを強く意識して、この大きさにどこまで詰め込めるか、ということも考えて、構造やギミックは詰めていきました。」と前田氏は語った。
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腰アーマーの裏、盾の裏などもメカとしての説得力を生じさせる演出が盛り込まれている
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その上で、「GFFMC シャア専用ザクII」、「GFFMC ザクII C型」はさらに多くの驚きをもたらしてくれる。全高約18cmという大きさ、ふんだんに使われた金属パーツで、より緻密で、そして動かして楽しい充実感を存分に感じさせてくれるアイテムだ。
本当に触っているだけで大きな驚きがある。最初に感じたのが、「腰アーマーの裏のモールド」だ。分割部分にもメカ描写があり、実際の機械を見ているような感覚がある。また右肩のシールドは内部の構造をシールド用の装甲板で覆い被せているような構造になっていて、他の装甲とは違う雰囲気だ。モノアイを動かす際には頭部ハッチを開けるのだが、そこも内部構造がある。全体的に商品としての“舞台裏”を感じさせない、メカニカルな演出に非常にこだわった作品という印象だ。
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腕の付け根は引き出せるだけでなく、上下に動かせる軸も
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腰パーツも金属が使用され、強度と可動範囲の広さを両立
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その上で金属パーツを効果的に使っている。「METAL BUILD」はフレームを露出させたり、目立つ位置に金属パーツを使うことで“金属感”をアクセントとして印象づける要素がある商品も多いが、「GFFMC」は腕や膝以外には一見見えない。しかし腰のパーツや、内部フレームがのぞく演出で金属パーツを使っている。手に持つとずしりと重いのも、内部骨格に金属パーツを多用していることの証だと稲吉氏は語った。
前田氏が強くこだわったのが膝を曲げる演出。深く膝を曲げると、太ももの上部、膝裏の装甲板がスライドし、金属パーツがのぞく。特に膝裏の装甲板はいくつもの細かいパーツでできている。これらが膝の動きに連動するメカニカルな雰囲気は特に素晴らしい。この複雑な設計は、プラモデルで製作技術が甘い人が作ると部品が引っかかってしまいそうだが、これがスムーズに可動するところが完成品フィギュアの良いところだろう。
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稲吉氏お気に入りの宇宙を*む背をそらせたポーズ
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前田氏はこの「しゃがんでコロニーのハッチを開けるポーズ」を立体物できちんと実現したかったという
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コクピットハッチの開放は初代「機動戦士ガンダム」とは異なる「THE ORIGIN」版
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動力パイプは軟質素材であり、可動を妨げない。腕の付け根は引き出し関節に加え回転軸まで用意されている。また肩アーマーはジョイントに蝶番状の部品を使い、肩から少し離せる。これにより腕の動き、表情の多彩さがより出せるようになっている。この複雑な“メカ感”は「GFFMC」ならではのこだわりだ。
今回は商品に近いバージョンと共に、マーキングや一部彩色の試作品も見ることができたが、こちらは金属パーツをどこに使ってるかわかりやすい。その中でひときわ目を惹くのが左の肩アーマー。ここが金属なのである。この大型の金属パーツは、前田氏のこだわり。前田氏は「機動戦士ガンダム」のMSを立体化する際、“製造工程”まで考えて商品化すると言うことを知ったのが、この肩アーマーだったという。
肩アーマーは体当たりを行なうため他のパーツ以上に強度が必要になる。そのため、部品を接合するのではなく、この丸いパーツそのものを“鋳造”で作るのではないか? そういう“解釈”が前田氏には強い印象を残した。このため、「GFFMC シャア専用ザクII」の肩アーマーは鋳造で作られた金属、という感じを出したかったという。
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どうしても金属で表現したかったという肩アーマー。合わせ目は研磨工程で殆ど見えない
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実際は1枚の金属で作るのは難しく中央で接合される形になったが、合わせ目は研磨し、さらに塗装を施しているので1枚の金属のようにきちんと見える。「ぜひ手で触って、この肩アーマーが金属なのを確かめて、驚いて欲しいです」と前田氏は語った。
もう1つ面白いところが、「ラバー塗装」である。「GFFMC シャア専用ザクII」、「GFFMC ザクII C型」はラバー塗装というまるでゴムのような感触をもたらす塗装をコーティングを膝頭のアーマーなどいくつかのポイントに施されている。金属感、固いPVCの感触、ラバー塗装……本商品は素材の違いが感じられる“感触”が楽しい。「ぜひ親指の腹で色々なマテリアル感を触って味わって下さい」と稲吉氏はコメントした。
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膝アーマーは厚みのあるラバー塗装が施されている
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