「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」レビュー
BANDAI SPIRITSの完成品トイブランド「METAL BUILD」で展開されている「機動戦士クロスボーン・ガンダム」の新アイテム「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」がついに筆者の手元に到着した。
本アイテムは「プレミアムバンダイ」内の「魂ネイションズ」ストア限定商品として販売され、“はじまりのクロスボーン・ガンダム X1”として新装備とカラーリング表現を加えて立体化。昨年(2024年)末に企画担当者様のインタビューを実施し、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」への愛と熱量を詰め込まれたアイテムとなっている。
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」は、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」連載30周年を記念して「少年エース 2024年12月号」に掲載された特別読切「機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)」にて登場したモビルスーツ。本作は前日譚として、木星帝国(ジュピター・エンパイア)に対抗すべくベラ・ロナを筆頭とした「クロスボーン・バンガード」の結成に向けて、キンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)がかつて敵対していたザビーネ・シャルを引き入れるため決闘をすることとなる。
その際にキンケドゥが搭乗したのが、「クロスボーン・ガンダム X1」に左肩部にのみ装備した追加装甲フルクロスユニットと試作武器ハイ・ビーム・ブラスターを装備した「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」だ。
最大の特徴であるハイ・ビーム・ブラスターは右肩部にジェネレーターが設けられ、動力パイプを通じてエネルギーを供給。決闘用に使用されたが、最大出力時には大出力のビームを発生させた。
「METAL BUILD」シリーズでは通常の「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」や「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」が発売され、“クロスボーン・ガンダムX1”としては3つ目のアイテムであり、そのほかにも「クロスボーン・ガンダムX2」、「クロスボーン・ガンダムX3」、「クロスボーン・ガンダム X-0 フルクロス」が展開されてきた。
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」では上述にあるは“はじまりのクロスボーン・ガンダム X1”とあるように、物語の時系列的には最初、ロールアウトしたばかりのような状態が表現されている。
本稿ではそんな「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」の魅力を紹介していく。
大迫力のビームエフェクトに多彩な武装が詰め込まれた内容物
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」のパッケージから見ていこう。表紙には本アイテムが威風堂々と飾り、縁取りデザインや文字の書体も優美な雰囲気が感じられる仕様となっている。
また、「METAL BUILD」のリニューアルパッケージ仕様で「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」部分はツヤのあるニス引きが施されている。
内容物も歴代の「METAL BUILD クロスボーン・ガンダム」シリーズ同様に豊富なラインナップとなっている。
コア・ファイターをはじめ、近接武器のビーム・ザンバー、射撃武器のバスターガンに腕部のブランド・マーカー、暗器のヒート・ダガーやビーム・サーベルが付属し、各種ビームエフェクト、ビーム・シールドエフェクトや狙撃時のスコープを展開した頭部、弾頭パーツ、シザー・アンカー用のチェーンに交換用手首、専用台座が付属している。
ここまでは「METAL BUILD クロスボーン・ガンダム X1」との共通装備となっているが、同商品についていたビリーやABCマントは収録されていない。
フルクロスは左右肩部、胸部、襟元、スカルヘッド・ユニットのフル装備で収録されており、こちらは「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」にも付属していた装備だが、胸部装甲はドクロ造形のないものとなっている。
そして、本商品の新規パーツとして右肩部に装備するジェネレーターユニットとハイ・ビーム・ブラスターが収録。そして、目を見張る巨大なエフェクトパーツも同梱され、大ボリュームのアイテムとなっている。
フィギュア本体とコア・ファイター、各種武装、エフェクトパーツ、交換用手首、交換用頭部
専用台座、補助支柱、各種ジョイントパーツ
フルクロス(左右肩部、胸部、襟元)、スカルヘッド・ユニット、ジョイントパーツ
ジェネレーターユニット、ハイ・ビーム・ブラスター、エフェクトパーツ
取扱説明書
内容物を確認したところで、まずはコア・ファイターから紹介していこう。
コア・ファイター本体左右にビーム・サーベルの柄を取り付けることで完成し、特徴的なフレキシブルバインダーは集束された状態やX字状に展開が可能。先端のノズルの角度調整はもちろん、付け根部分も角度調整ができ、モビルスーツ形態での表情付けが可能となっている。
もちろん、機首部分を折りたたみ、ビーム・サーベルを支えるパーツを可動させることでフィギュア本体へのドッキング機構も再現できる。
【コア・ファイター】
コア・ファイター
本体左右のパーツにビーム・サーベルの柄を装着
ノズルは内側までしっかりと色分けがされている
特徴的なX字状に展開が可能
ノズル箇所にも可動が備わっている
根元部分も可動。フレキシブルバインダーを下方に向けることができる
フレキシブルバインダーにもゴールド、シルバーの部分塗装で豪華な色彩となっている
機首部分
ドッキング状態
「クロスボーン・ガンダム X1」本体の準備として、腕部にブランド・マーカーの発生装置を装着、コア・ファイターを背面から差し込む。また、サイドアーマーはホワイトの縁取り部分が回転し、位置を変えることで黒い部分にジョイント穴を露出させることができる。そこにバスターガン、ビーム・ザンバーのジョイント軸を差し込むことでマウントが可能となっている。
前腕部のパーツにブランド・マーカーの発生装置を装着
背部にコア・ファイターをドッキング
サイドアーマーに武装を装着。右サイドにはバスターガンをマウント可能
左サイドアーマーにはビーム・ザンバーをマウント可能
準備が整うと見慣れた「クロスボーン・ガンダムX1」が完成する。基本的なギミックである頭部のフェイスオープンやフロントスカートのシザーアンカー展開などは共通のものとなっている。
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」の本体
背面
バストアップ
丸みのある胸部に直線的な肩部アーマー。ゴールドのダクト造形と洗練されたデザインが再現されている
シャープな脚部造形
木星圏の重力にも対応する大推力のフレキシブルバインダーは大きく展開
膝関節や足首にはダイキャストの重厚感ある造形がうかがえる
頭部。額にはドクロレリーフが造形されている
最大稼働時のマスクの放熱機構(フェイスオープン)も再現
狙撃時に展開するスコープ付きの頭部
初期の「クロスボーン・ガンダムX1」を物語るクロスボーン・バンガードの紋章
肩部には偽装された型式番号「XM-X1」の文字
シザーアンカーにもなるフロントスカート
リアスカート。こちらは改修前の状態が再現され、スクリュー・ウェッブの造形はなし
アンクルガードにも細かいゴールドのラインが施されている
「クロスボーン・ガンダムX1」の新たな姿ハーフクロスを再現
「クロスボーン・ガンダム X1」の左肩部にフルクロス、右肩部にジェネレーターとハイ・ビーム・ブラスターを装着することで「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」が完成する。
ハイ・ビーム・ブラスターの装着は手首パーツで武器本体を持たせ、ドクロレリーフのあるパーツを一度外し、ジョイントパーツでブランドマーカーと武器のジョイントを繋げることで保持力を補強。再び、ドクロレリーフのあるパーツを元に戻して右手に持たせることが可能となっている。
【「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」へ換装】
フルクロスにスカルヘッド・ユニットを装着
「クロスボーン・ガンダムX1」の左肩部に装着
右肩部にジェネレーターを装着
右腕部にハイ・ビーム・ブラスターを装備
ドクロレリーフのあるパーツにジェネレーターの動力パイプを接続
「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」の防御力と機動力を得るためのフルクロスの軽量化と決闘用に使用したハイ・ビーム・ブラスターを装備した新たな姿が見事に再現されている。
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」同様にフルクロスは肩部の付け根部分に可動軸を備え、表情付けができ、左腕のアクション表現をサポート。さらに内部の「METAL BUILD」オリジナル武装ヒート・カッターが仕込まれている。
ハイ・ビーム・ブラスターは、ムラマサブラスターを思わせる多数のビーム発振器を備え、先端部はビームを発射することも可能となっている。内側にはグリップの展開や柄部分の展開とギミックも備わっている。そして、巨大なビームエフェクトを装着すると本体を優に超えるサイズとなり、マンガ的な大迫力のディスプレイが楽しめる。なお、エフェクトパーツ装着時は補助支柱による支えが必要となる。
動力パイプには軟質パーツが使用され、ハイ・ビーム・ブラスターを振るうアクションなどに追従できるようになっている。ジェネレーターの動力パイプ付け根には可動軸が備わっており、自然な形で動力パイプの位置を調整することもできる。
「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」
背面
バストアップ
フルクロスは独自可動で大きく展開が可能
背面にも同じく可動が備わり、表情付けができる
右腕部に装備したハイ・ビーム・ブラスター
海賊の武器らしいドクロレリーフ
持ち手部分には展開ギミックを搭載。フォアグリップの展開もでき、最大出力で射撃姿勢も表現可能
動力パイプは軟質パーツで柔軟に動く
肩アーマーに被せたジェネレーターパーツによって、より厳ついシルエットに
ハイ・ビーム・ブラスターのビームエフェクト装着時。「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」本体を優に超えるものとなっている
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」付属のムラマサブラスター(下)と比較
大型の武装を備えた「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」だが、本体のダイキャストの強い保持力と可動によって様々なアクションポーズを取ることができる。
ハイ・ビーム・ブラスターをダイナミックに振るうなどのダイナミックなアクションが楽しめる。
決闘に赴く「クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス」
ハイ・ビーム・ブラスターを振り回すパワフルなポーズ
シザーアンカーのからめ手も使用可能
最大出力でビームを発射!
過去アイテムを踏襲したギミック、アクションの数々が受け継がれた“はじまりのX1”
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」では、ハーフクロス形態の他、通常の「クロスボーン・ガンダムX1」、そして、キンケドゥが搭乗したらを表現した「クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」にすることもできる。
通常の「クロスボーン・ガンダムX1」は近接戦闘に特化した武器を駆使したアクションが魅力で、漫画本編でのキンケドゥの活躍を思い出させるポージングが楽しめる。もちろん、全身に仕込まれた武器を巧みに操るケレン味もMETAL BUILDの濃密なディテールと可動で表現できる。
【クロスボーン・ガンダムX1】
両腕部に備えたブランド・マーカーによる近接格闘
ビーム・ザンバーとブランド・マーカーによるビームシールド
射撃武装のバスターガンとビーム・ザンバーを手にすると海賊らしい印象
バスターガンとビーム・ザンバーを連結したザンバスター
スコープを展開し、ザンバスターに弾頭を装填。マンガでもあった狙撃シーンを再現できる
膝立ちポーズも可能。脹脛に隠されたヒートダガーも手に持たせることができる
足裏のジョイントにヒートダガーの刃を装着すれば、展開状態にすることも可能
コア・ファイターのビーム・サーベル
フロントスカートのシザーアンカー。チェーンパーツと補助支柱、ジョイントパーツで射出状態を表現できる
ジョイントパーツを使用することでビーム・ザンバーをシザーアンカーで持たせたケレン味あるアクション
そして、フルクロスを装着した状態は全身を覆う追加装甲による防御力を底上げした姿となる。本アイテムでは「キンケドゥが使用したら?」を想起させるものとなっている。
「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」にてトビア・アロナクスが搭乗した際のムラマサ・ブラスター、ピーコック・スマッシャーの大火力武装はないものの、X1の武装やヒート・カッター、スカルヘッド・ユニットを駆使したアクションが楽しめる。
装着方法も左右肩部、胸部のフルクロス、襟元の装甲を追加することで完成する。
【フルクロス 装着】
フルクロスを装着
襟元の装甲を装着
【クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス】
モビルスーツ本体を包み堅牢なフルクロス
フルクロスの各部可動で腕部を動かすことも可能
ブランド・マーカーを突き出すアクション
フルクロスの内側には大型のヒート・カッターが仕込まれている
フルクロスをひるがえしながらヒート・カッターで攻撃
肩のスカルヘッド・ユニットはジョイントパーツを使うことでブランド・マーカーの発生装置に取り付けができる。フルクロスの一部装甲を取り外した状態にすることもできる
過去アイテムとのディスプレイ。色彩から感じられるX1の歴史
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」ではキンケドゥ搭乗機ともあり、再改修(X1改・改)前の状態で胸部にクロスボーン・バンガードのエンブレムが施されている。外観としては過去商品の「クロスボーン・ガンダムX1」と比べても大きな変化はないが、色彩の違いはかなり出ている。
本商品では前日譚となる「機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)」で登場した状態で、本編の木星戦役が始まる前の状態が表現されている。
特に黒のカラーリングは青味の入った彩色でロールアウトしたばかりのような新品感が演出されている。また、マンガカラーイラストに近い印象であり、ゲームや立体物にも続いていく「機動戦士クロスボーン・ガンダム」の“はじまりの色”が感じられる。
特に「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」と比較すると、キンケドゥからトビアへ受け継がれた「クロスボーン・ガンダムX1」の長い戦歴とドラマを感じさせる色の変化が一層強く感じられるものとなっている。
【「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」比較】
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」の「クロスボーン・ガンダムX1 改・改(スカルハート)」(右)と比較
黒い部分の彩度の違いがわかる
フロントスカートをはじめ鮮やかゴールド部分がシルバーになっているなど物語の経過を感じさせる
ゴールドも若干の色味の違いが出ている
フルクロスの彩色も違った印象で、「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」では明るい青色が感じられるものとなっている。「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」は黒色で重厚感が強い雰囲気で、同じ装備ながらそれぞれの機体のアプローチの違いが顕著に出ている。
【「フルクロス」比較】
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」(右)と比較
色合いの違いで機体の年季が感じられるようになっている
そして、歴代の「METAL BUILD クロスボーン・ガンダム」と並べてディスプレイ。筆者は最初に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」が購入できず、「いつかキンケドゥが乗るX1を手に入れたい」と思っていた。
今回ようやく木星戦役で活躍したX1、X2、X3を備えることができ感無量だ。それぞれパイロットのスタイルに合った武装やカラーリング、数々のドラマを生み出した機体が一堂に会するディスプレイは迫力満点だ。
「クロスボーン・ガンダムX1」(中央)、「クロスボーン・ガンダムX2」(左)、「クロスボーン・ガンダムX3」(右)がついに揃った
横からのディスプレイ
3機のクロスボーン・ガンダムによる共闘をイメージしたディスプレイ
2機の「クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」が並び立つ
「機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)」でのキンケドゥ対ザビーネを疑似的に楽しめる
以上、「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」のれビューをお送りしてきた。
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダム」の新アイテムとして「機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)」のハーフクロスが立体化。過去にも「クロスボーン・ガンダムX1」はMETAL BUILDシリーズで立体化され、フィギュア本体やフルクロス、武装なども共通している部分が多い。
シルエットの変化こそ少ないものの、色彩へのこだわりで「機動戦士クロスボーン・ガンダム」の物語、そしてMETAL BUILDシリーズでの展開の流れが感じられるものとなっており、作品が好きな人はもちろん、これまで「METAL BUILD クロスボーン・ガンダム」を集めていた筆者としても“始まり”に焦点を当てたアプローチは新鮮に感じられた。
また、新装備のハイ・ビーム・ブラスターの造形からはムラマサ・ブラスターに繋がる技術的系譜が感じられ、大出力を表現したビームエフェクトも立体物として「ここまで来るか!」と手にしてみて驚愕した。
「機動戦士クロスボーン・ガンダム」の物語は最新作「機動戦士クロスボーン・ガンダム ゼーロイバー」へと続き、METAL BUILDシリーズでの今後の展開にも注目したい。
(C)創通・サンライズ