【PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム】
2026年1月 発売予定
価格:66,000円(税10%込)
BANDAI SPIRITSは、プラモデル「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」を2026年1月に発売する。
本商品はガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」の最高峰ブランド「PERFECT GRADE UNLEASHED」第2弾であり、ガンプラ45周年を記念したアイテムで、 映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にてアムロ・レイが設計スタッフとして参加し、アナハイム・エレクトロニクス社が製作したMS「νガンダム」がプラモデル化される。
「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」。2026年1月 発売予定。価格は66,000円(税10%込み)。一般店頭発売商品
「νガンダム」は「RX-78-2 ガンダム」から続く歴代ガンダムを感じさせるデザインに、黒を使用したトリコロールカラーに加え、本機を象徴するフィン・ファンネルを装備。ハイレベルな戦闘シーンやシャア・アズナブルが駆る「サザビー」との対決など多大な活躍を見せ、ガンダムシリーズの中でも人気の機体だ。
今回、ガンプラ45周年で誕生した「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」の商品企画・設計をされているBANDAI SPIRITSホビーディビジョン ホビークリエイション部の企画担当・稲吉太郎氏と設計担当・曽根大地氏に本アイテムの魅力を伺った。
ホビーディビジョン ホビークリエイション部の企画担当・稲吉太郎氏(左)と設計担当・曽根大地氏(右)
ガンプラ45年の歴史の集大成。「史上最高のガンプラ」に込められた想い
――最初に「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」の商品化・開発経緯を教えてください。
稲吉氏:年(2025年)がガンプラ45周年の記念年でもあり、今回の商品化では“ガンプラの集大成を見せる”というのが我々の一番の課題でした。
そこでガンプラ40周年を振り返った時に「PERFECT GRADE UNLEASHED」ブランドが立ち上がり、「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」が発売されました。ユーザーの皆様からもご好評いただき、そこを超えなければならないというミッションもありました。
稲吉氏:このブランドで「RX-78-2 ガンダム」に続く機体は何かを考えた時に、第1弾はアムロ・レイが最初に乗った機体である「RX-78-2 ガンダム」。そして、最後に搭乗したとされる機体が「RX-93 νガンダム」なので、45周年の節目の集大成には「νガンダム」がふさわしいのではないかとなりました。
――「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」の商品化にかかった期間はどれくらいでしょうか?
稲吉氏:初期構想からになりますと5年はかかりました。
――「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」で目指したコンセプトについて教えてください。
稲吉氏:「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」の時は、PGガンプラからさらに踏み込んだ各部の作り込みを追求しつつ、組み立てやすい設計が一つのポイントでした。
今回の「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」ではその逆で組み立てやすさよりも作り込みを極限まで追求した“ガンダム本物体験”になります。ガンダムを建造していくような、フレーム部分から「ガンダムが実在したら?」というイメージのもと、設計の曽根さんが頭のてっぺんからつま先まで“実際のνガンダムにあるだろう”アクチュエーターやダンパー、可動機構などを作り込んでいただきました。
そこに劇中の様に外装を着けていくことで「こんなνガンダムになるのではないか?」とデザインを固めていきました。「より高精度、高密度のガンプラを『PERFECT GRADE UNLEASHED』ブランドで作っていく」ことをイメージしました。
※塗装済み見本になります
――現実でも横浜の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」にあった「動くガンダム」や福岡の「実物大νガンダム立像」、大阪万博の「実物大ガンダム像」などが建造され、「現実のガンダムの大きさ」をより身近に感じられるからこそ「PERFECT GRADE UNLEASHED」のリアリティーにも説得力やロマンが感じられますね。
稲吉氏:まさに現実でも本物に近いスケールのガンダムがありますので、お客様の中でも「ガンダムが実現したら?」というイメージが浮かびやすくなっていると思い、そのイメージを「PERFECT GRADE UNLEASHED」でも踏襲したいと考えています。
“ガンダム本物体験”を追求した組み立て体験
――気になる組み立てに関してですが、目指したコンセプトはありますか?
稲吉氏:過去の「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」の各フェーズごとの組み立てを踏襲しつつ、例えば腕の部分であれば「腕の動力機構はこうあるのではないか?」と各部位に合わせたフレーム形状などに力を入れています。
なので、外装を外した状態でもメカニック的に意味のある造形を感じられるようにしています。
曽根氏:こうした一見すると見えない部分も1/60スケールサイズだからこそ造形の追求をすることができました。
――映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でも「νガンダム」は冒頭から機体の建造描写があり、内部フレームも印象的でした。「PERFECT GRADE UNLEASHED」でもそうした描写の再現が楽しみですね。
稲吉氏:『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の中では外装がない描写もたくさんありましたので、そうした建造していく過程をキットを組む中で感じられるように意識し、仕様にも盛り込んでいます。
それを意識して劇中冒頭にあったツインアイを覆うシートを、付属のシールで再現できます。組み立ての最初の段階で目にそのシールを貼って組み立てることができます。そして、完成した最後にシールを外すといった“ガンダム本物体験”、没入感を楽しんでいただけるように意識しました。
――これはじっくり一つ一つのパーツを組んでいきたいキットですね。気になるのはその総パーツ数ですが、どれくらいになりますか?
曽根氏:そうですね。本体や武器、フィン・ファンネルを含めて約1400パーツとなっています。
――材質に関してもかなりのこだわりが感じられますね。
稲吉氏:フレーム部分に高級感ある材質を使用しています。通常のPGガンプラであれば、フレームはだいたいグレー1色に濃淡をずらしたグレーパーツで構成しています。
今回の「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」では高密度、ハイディテールなフレームを目指し、基本となるグレーにメタリックのサブフレームがあり、アクチュエーターには金メッキを使用し、部分によってはリード線を用いたディテールを盛り込んだものとなっています。
また、「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」同様に各部の外装を展開することで、内部フレームが露出するようになります。
稲吉氏:さらに別売りのLEDユニットを組み込むことで、コックピットブロックの内部にサイコ・フレームをイメージした発光ギミックなどを仕込むことができます。
――別売りのLEDユニットですが、「νガンダム」本体に埋め込む形なのでしょうか?
曽根氏:LEDユニットは「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」専用のものになっておりまして、頭部と胸部、コックピットブロックに配線方式のLEDユニットを入れるものとなっています。電源はディスプレイベース内に収納する形で、配線も支柱から本体へ伸ばしていく形になります。
――「PERFECT GRADE UNLEASHED」だからこそ出来た「νガンダム」の造形表現についてお聞かせください。
稲吉氏:まず、プロポーションは“今のガンプラの集大成”を意識して、現代的なアプローチで決めていきました。同じく、1/60のスケールの「νガンダム」としては過去にBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部から「METAL STRUCTURE 解体匠機 - RX-93 νガンダム」が発売されました。開発当初は私もコレクターズに所属しており、作品公開当時のプロポーションデザインを意識して開発が進められていました。
「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」では今の主流となっているプロポーションを意識して、各部のサイズ感を決めていきました。さらに色分けの部分も、例えば肩アーマーでも3色が使われておりまして、ホワイトにグレーホワイト、差し色として中のフレームから露出したシルバーとなっています。こうした色の情報量の散りばめは非常に気を使っております。
むやみにカラフルな色設定にしてしまうとバランスが崩れてしまうので、元設定の色や造形をリスペクトしつつ現代アレンジに気を付けています。
曽根氏:また、内部メカ造形に力を入れましたね。内部のモールドやリード線などロボットアニメやSF作品にある「配線がたくさんある機械の雑多だけど情報量の多い描写」が個人的には好きで、今回1/60スケールなのでそうした高密度な情報量をデザイナーさんとともに各部を橋渡しするリード線といった造形を盛り込みました。
――通常のガンプラからさらにパーツの積層構造が増え、造形の複雑さがよりリアルかつ濃密に表現されていますね。
曽根氏:PGガンプラだからこそできる多重構造の造形美はありますね。HGガンプラですと1/144スケールで、プラスチックの厚みもありまとめるのが難しい点なのですが、パーツの積層は1/60スケールサイズだからこそできた部分ではありますね。
また、シールに関しても「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」では型番などの部分はテトロンシールを使用していましたが、今回は水転写式デカールを採用しています。
――パーツが多くなるほどに重さや構造の複雑さの課題は大きかったのでしょうか?
曽根氏:そうですね。重量もそうですが、可動に際してかかる負荷も変わってくるので、だいぶ気にかけて設計しました。
稲吉氏:実際、スケールが2倍になったら体積は“2³倍=8倍”となるので、その分負荷がドカッと来ますね。
――それでは可動について教えてください。腕や脚部などを動かしてアクションポーズを取ることは可能でしょうか?
稲吉氏:本体の可動に関しては堅実なポーズが取れるようになっています。5月に開催された「第63回 静岡ホビーショー」でも膝立ちポーズのモックアップを展示させていただきました。
実際のモビルスーツが現実にあったら、立っているポーズはもちろんパイロットの乗り降りに適した姿勢もあるので、「実際に存在したらこういう動きをするのではないか?」という可動は随所に入れております。特に、股関節周りの可動箇所にはスライド可動が多数仕込まれています。
――本体の可動箇所はどれくらいありますか?
曽根氏:今回1/60スケールという大型のサイズなので随所に可動箇所を盛り込むことができ、MGガンプラ以上の可動箇所を仕込んでいます。
その分、胴体の負荷が大きく、さらに電飾を仕込む関係やフィン・ファンネルをマウントすることもあり、背中を反る動きは控えめに設計しています。どうしてもフィン・ファンネルも大型でその分重量もあるので、それに負けないよう可動を設定しています。
稲吉氏:特に胴体は設計途中から曽根さんが苦労されていました。可動と保持力、LED、加えてアムロ・レイが乗るコックピットの再現、フィン・ファンネルの装着とそれらすべて盛り込むと、1/60スケールでもまだ胴体のスペースが足りないくらいで。
――装甲の展開ギミックでは、正面のハッチが3重になっているのも個人的には驚きました。
曽根氏:サイズが大きい分、多軸を仕込めるスペースがありましたので、ハッチも大きく開き、パーツも増やすことができました。
――指先もダミーMS発射口の展開があるのも流石「PERFECT GRADE UNLEASHED」ですね。
曽根氏:せっかくの大型のキットなのでやりたいと思っていたので入れました(笑)。またマニピュレーターにはインサートが入っています。
――本キットではニュー・ハイパー・バズーカを支えるサポートアームがありますが、こちらは新たに設定された機構になるのでしょうか?
稲吉氏:サポートアームは今回のオリジナル機構として新たに設計したものになります。「νガンダム」が実際に存在すると想定した時、元のマウント位置から「どうやって持たせるのか?」を考えました。
そこから、こうした大きな武器を背負っている時に手元にスムーズに移動できるように想定して、サポートアームを追加しました。
巨大なフィン・ファンネルにもPGUならではの技術が満載
――続いて、気になるフィン・ファンネルについて教えてください。今回は大型ともありパーツ数はどれくらいになりますか?
曽根氏:フィン・ファンネルで約50パーツほどで、それが6基あり、合計で約300パーツほどです。もう少しパーツ数は抑え、重量を軽くしたいところでしたが、色々と盛り込んでいくうちにパーツ数も多くなってしまった感じですね。
稲吉氏:フィン・ファンネルに関しては連結機構にも力を入れておりまして、連結した状態で前後にマントのようになびくような可動を入れています。
設定上では直線的な巨大な放熱板のようなイメージになりますので、同じ固定角度の場合、1/60スケールだとやぼったく映ってしまうのではないかと考えました。
そこで、お客様の手で角度調整してカッコよくディスプレイできるように今回の可動を入れました。
――なるほど。フィン・ファンネルの連結機構は従来のジョイントを展開して差し込む形になるのでしょうか?
稲吉氏:連結機構に関して、スライド機構を入れることでリブとジョイントを出せるようにしています。個別の状態ではスライド機構によって、それらが隠れるようになっています。
そして、連結時には内側のパーツを開いてジョイントをリブに挟み込む方式を取っています。抜き差し式の嵌合に依存せず、荷重のベクトルも横ではなく縦にかかるので保持力を高めています。
曽根氏:フィン・ファンネルが外れてしまうストレスはなくしたい部分ではありました。差し込み式も検討したのですが、どうしても支えきれず、今回ひと手間入ってしまうのですが、より保持力の高い方式を採用しました。
――フィン・ファンネルの個別ディスプレイに関しては、補助支柱などが付属するのでしょうか?
曽根氏:こちらに関しては別売りの「アクションベース8」を使用していただく形になります。本キットには専用のジョイントパーツが付属しておりますので、それを「アクションベース8」に取り付けることで周りに展開した状態を再現することができます。
「アクションベース8」であれば、フィン・ファンネルをディスプレイした際にある程度の高さがありますので、「νガンダム」と並べやすいかと思います。
――フィン・ファンネルのオリジナルギミックはありますか?
曽根氏:内側に一部開閉してビームの発射状態を表現できるようになっています。また、先ほどありましたスライドギミックを利用して、下側のパーツに貼ったメタリックシールが露出する穴の造形もあります。閉じている時は下のシールが隠れて、展開するとエネルギーが充填されたようなメタリックシールの輝きが見えるようにしています。
――フィン・ファンネルを作るにあたって苦労された点はありますか?
稲吉氏:やはり保持力につきますね。
曽根氏:フィン・ファンネルは一番長いスパンで設計をしました。4、5回以上は試作を作り、色々な角度で連結機構の検証を重ねていきましたね。
重さもありますし、連結の方式も今回の方式に決まるまでかなり時間がかかりました。
――「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」を開発していく中で苦労した点や楽しかったポイントなどはありますか?
稲吉氏:苦労したポイントはやはりボリューム感です。1/60スケールはホビーディビジョンの担当の中でも数少ないアイテムになりますので、私もはじめての試みでした。
さらに「νガンダム」本体にフィン・ファンネルと今までと違うアプローチもあり、苦労した点でもありますが、同時に開発をしていた楽しいポイントでもありました。
このサイズのガンプラを作れるのは、BANDAI SPIRITSホビーディビジョンの企画設計の長い歴史でも限られた人しかできない非常に名誉なことで貴重な体験になりました。それに携われたこと自体が非常に楽しかったですし、そうして生まれた機体をぜひお客様にも組み立てていただき、ディスプレイを楽しんでいただけたらと思います。
曽根氏:PGガンプラを設計すること自体貴重な体験で、自分も初めての経験で光栄でした。僕は「RG 1/144 νガンダム」の設計も担当していましたが、今回「PERFECT GRADE UNLEASHED」を担当するにあたってフィン・ファンネルは苦労もありましたが、ようやく1/60スケールだからこそできた形にすることができました。
また、RGガンプラでは盛り込めなかったダミーMSの発射口やマニピュレーターのインサートのブラッシュアップができたかと思います。
――最後にユーザー様へのメッセージをお願いいたします。
稲吉氏:ガンプラ45周年の集大成アイテムになりますので、これまで様々なガンプラを組んでくださったファンの方々に「一つの集大成だ」と思っていただければと思います。
曽根氏:過去のガンプラから技術を集約したキットになりますので、ガンプラの歴史に思いをはせていただきながら組んでいただければと思います。パーツ数も多く、1日で組み立てるのが難しいアイテムなので長く楽しんでいただけますと幸いです。
――ありがとうございました。