今回レビューするのは「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」です。1985年3月にTV放送開始したアニメーション作品『機動戦士Zガンダム』に登場する巨大な可変モビルアーマーで人型のモビルスーツ形態に変形でき、その全高は約40mです。
その巨体から、1/144スケールキットにも関わらず全高は約270mmにも達します。変形機構まで備えた超大型キットということで、今回はレビューを前後編に分けてお送りします。前編となる本稿では、「サイコ・ガンダムMk-II」の解説からキットの概説、上半身完成までの内容を扱います。後編では下半身の組み立てと変形機構、各種ポージングをご紹介します。
【2025年、ついに「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」がキット化!】
劇中での「サイコ・ガンダムMk-II」は人工のニュータイプ=強化人間であるロザミア・バダムが搭乗。同じく強化人間のフォウ・ムラサメが搭乗した「サイコ・ガンダム」の後継機でもあります。全高約40mの巨体に精神感応制御機構である“サイコミュ”を搭載しておりニュータイプ、またはそれに順ずるパイロットが必要とされます。
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サイコ・ガンダムMk-IIは全身に装備されたビーム砲やメガ粒子砲、両腕先端のビーム・ソード、リフレクター・ビットなど多数の火器を装備して単騎で敵勢力へ襲い掛かることができる脅威のマシーンとして描かれています。
『機動戦士Zガンダム』に登場した際はロザミア・バダムの精神が安定せず、持てる装備・機能を使い切ることなくカミーユ・ビダンのZガンダムに撃破され、その後アクシズ(ネオ・ジオン)軍が回収。続編の『機動戦士ガンダムZZ』で強化人間プルツーが搭乗してZZガンダムの前に立ちはだかり本来の性能を発揮します。
【HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II】
ファン待望のキット化を果たしたサイコ・ガンダムMk-II!
そんなサイコ・ガンダムMk-IIがついにHGキット化!前代機にあたる「HGUC 1/144 サイコガンダム」が2004年の発売でしたから実に21年後の後継機の登場となりました!当時はすぐにでも、もしくは2,3年後にも発売されるだろうと思っていたものですが『機動戦士Zガンダム』40周年に合わせるかのように2025年にキット化されました。そして同作の主要MS立体化のラストを飾るキットとなります。ついに揃った!
【HGUC 1/144 サイコガンダム】
2004年8月発売 5,500円(税込)
MS形態、MA形態に変形可能!
注目の機構、モビル・フォートレスへの変形はもちろん可能!大型キットの利点を生かして赤や黄色の各部のディテールもパーツで実現していてシールでのディテーリングは最小限に抑えられています。そして組みあがると約270mmとなる全高は1/144スケールでありながら一般的なモビルスーツの1/60スケール(全高約300mm)に近い大きさともなることから存在感はとてつもないものがあります。
前代機より複雑になった変形機構をHGキットで再現
全身のカラーディテールもパーツ割りで実現
MS形態時に全高約270mmと、とにかくその大きさに驚きます!
今回「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」のキットをレビューできることになりました。Zガンダム系キット化ラストピースでもある「サイコ・ガンダムMk-II」はこれまでガンプラが培ってきた技術革新を注ぎ込まれてより素晴らしいキットに熟成していると思われます。ファンが(もちろん筆者も!)待ち焦がれていただろうキット内容を確認していきましょう。ついにこの時が来ました!
「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」のキット内容をチェック!
それではキットの内容をチェックしていきましょう。ランナーはA~N、BA-16、ACB-4A/B、ACB-BA、SB-11、SB-13の計34枚です。他にリード線2本、シール1枚、組立説明書が付属します。スタンドも数種類入っているとはいえさすがに大きな機体を実現するためパーツ数も多くなっていますね。各パーツは大きく成形されていますから組みやすさと剛性の確保にも貢献しているようです。
「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」パッケージ
【キット内容】
パッケージ ※差し替え対象
A:2種の頭部など主に上半身の装甲パーツ
B1:主に下半身やシールドのパーツ
B2:主に大腿部やシールドのパーツ
C:主に各部のカラー加飾部
D:【2枚】主にリフレクター・ビットのパーツ
E1:可動機構を持ったハンドパーツ
F:主に装甲パーツ
G:主に脚部パーツ
H:主に脚部パーツ
I:【2枚】主にシールドや装甲のパーツ
J:【2枚】主にメカフレーム
K1:主にメカフレーム
K2:主にメカフレーム
L2:【2枚】主に装甲のパーツ
M1:赤の加飾パーツ
M2:主にスラスターや加飾パーツ
N1:黄のノズルや加飾パーツ
N2:主にノズルや加飾パーツ
ACB-4A/B:アクションベース
BA-16:【2枚】ウェポンディスプレイベース
ACB-BA:【3枚】アクションベース
SB-11:【2枚】ビームエフェクト
SB-13:【3枚】ビームエフェクト
シール/リード線
高密度なのに組みやすい!各部カラーディテールもパーツで実現
それでは早速「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」を組んでいきましょう。機体の特徴である巨大な体躯を1/144スケールで表現してもそれぞれのパーツが大きく設計されています。そのためとても組みやすい印象ですね。機体各部のカラーディテールはパーツで再現されるうれしい仕様ですが、それゆえ細かくならざるを得ないカラーパーツもありますから飛ばさないように注意したいところです。
【組立:頭部】
設定カラーに準じたパーツ分けされています
後頭部のノズル3基はそれぞれ別パーツ化され、ノズル内部は黄色の別パーツです
マスクには裏からツインアイを組み込みます
シールによるツインアイも再現可能ですが、パーツそのままのほうがシャープさが出ますね。ツインアイのパーツは塗装も簡単ですからチャレンジしてみるのもいいと思います!
メカフレームを中心に各パーツを組み付けていきます
左にある額周辺のスリットも開口してあって印象の良い頭部が組みあがります
額のパーツに可動アンテナの取り付け部があります
マスク周りのカラー再現や密度もシャープな印象です!
額の赤いビーム砲も別パーツとなっています。かなり細かいので最大限の注意を!
頭部は脱出ポッドも兼ねています
収納時にアンテナは下側へ回転可動します
巨大な胴体部は内部構造もびっしり!
胴体部は巨大なことはもとより、内部メカフレームも再現しているにもかかわらず組みやすくもあり剛性もあるのでパチピタですいすい組んでいける印象です。パーツの割り方やディテール等は現時点でのクオリティのガンプラキットであることは間違いありません!その分パーツ数自体は多いのでここでは4段階に分けて見ていきましょう。
【組立:胴体部 その1】
まずは胴体部の最もコアとなるメカフレームを組みます。ヒトでいうところの背骨にあたる部分となります
首回りも多パーツ化されています
そこへ襟のパーツと動力パイプを組み付けます。動力パイプもそれぞれ別パーツ化されていて塗装派にもうれしい仕様です
いい密度感です!
極太な腹部関節は巨体を支えるがっちり感があります
背骨がっちりのメインメカフレームができました
続いて胴体部・前面装甲部を組んでいきます。サイコ・ガンダムという機体がモビル・フォートレス形態になるときは前面装甲部ががばっと前に押し出され、まさに“フォートレス=要塞”のような形状になります。
キットでもこの特徴を再現。メカフレームに可動機構のアームなどを備えてスムーズな動きを実現しています。腹部の大型メガ粒子砲や各部のカラーディテールも細かくパーツ分けされています。
【組立:胴体部 その2】
前面装甲部は大きなメカフレームを中心に、各部装甲パーツを組み付けていきます
メカフレームには横長のダクトもディテーリングされています
腹部大型メガ粒子砲のパーツ割りもうれしい配慮がされています。奥まる位置にくる接続軸は砲口にもなっています
組み上げた大型メガ粒子砲を装甲とカラーディテールパーツで覆っていきます
カラーディテールパーツでシャープな印象に!
前面装甲に組み付けました
首周りのカラーディテールパーツを組み付けていきます
裏側にあるメカフレームに可動アームを組み付けました。メカフレームもたくさんのリブが用意され、剛性も問題ありません
特徴的な肩アーマーを組んでいきます。肩アーマーといいつつも胴体部に可動基部を持ち、モビル・フォートレス形態時に側面から立ち上がり頭部をカバーするものでもあります。可動させるとノズルが現れ、機動性能を高めます。キットでは肩アーマー自体も3パーツで構成され、エネルギーパイプも別パーツ化されています。
【組立:胴体部 その3】
左側用を組んであります。胴体部メカフレームの一部と肩アーマーのパーツで構成されます
可動軸パーツの上にノズルを組み付ける軸があります
組みあがった肩アーマーはメカフレームにがっちり組み付けられます
完成した各部をドッキングさせていきましょう
前面装甲とメインメカフレームとの接続は難しくない構造で組みやすさに貢献します!
ビシっときまった胴体部ができました
肩関節を組んでいきます。片側を組んであります。関節カバーもあってうれしい配慮ですね
胴体部メカフレームに組み付けました
胴体・背面部を組んでいきます。背面の装甲と、モビル・フォートレス形態時に頭部を保護する大きいカバーがあります。カバーへの動力パイプの構造が理解できて楽しい部分ですね!カバーには大きいカラーディテールパーツや頭部を直接覆う部分のカバーの可動機構もあります。
【組立:胴体部 その4】
背面を構成するパーツ群。頭部カバーが結構大きいのがわかります
首の後ろから伸びる動力パイプの構造。変形時には根元から回転して立ち上がることになります
カバーにカラーディテールパーツを組み込んでいきます
組みあがったカバー。存在感たっぷりです!
頭部をドッキングさせました!凶悪なフェイスです
変形はまた後程ですが、首と頭部が収納されカバーが立ち上がることになります
劇中ではなかなか確認しにくかった機体上部も見れるのが立体物のいいところですね!
背面左右にはリフレクター・ビットの収納部があります。後ほど組みます
腕部は指先も1本ずつ可動するなどギミック盛りだくさん!
腕部は太くマッシブなシェイプであるとともに複雑な可動機構を持っています。肩アーマーは90度正面を向くための凝った組み方をします。肘関節もガンプラならではの多重関節を構成、大きな可動域を確保しています。手首は内側に曲がることで露出し、その部分は巨大なビーム・ソード発生器にもなっており、ビームエフェクトが取り付けられるようになっています。
前腕はワイヤーによる有線式サイコミュ端末となっていて前述のビーム・ソードやハンドの指の先からビームを放てる移動砲台ともなる装備です。キットでもその機構を再現可能であり、大型キットの利点を生かして指もそれぞれ可動させられます。ハンド状態やビーム放出の状態もかなりの表情がつけられます。
【組立:腕部】
左に右腕を組んだもの、中央・右・下が右腕用のパーツ群です
肩部から組んでいきます。機体各部のメガ粒子砲は砲口内の黄色のパーツが別になっていてうれしい設計です
肩アーマーに組み込んでいきます
肩アーマーを90度前に向かせるための機構を組んでいきます。ここは少々複雑な組み方になりますのでじっくり取り組みたいところです
先ほどのパーツを組み合わせて、回転させるなどして完成させていきます
組みあがるとこの通り、パチッと完成します!
それぞれを組み上げると肩アーマーが完成します
肩アーマー、大きい!
上腕部は簡単な構造でありつつ、合わせ目を覆い隠す設計がされていてうれしい配慮を感じます
前後4本のパイプの下に本体の合わせ目が来ます
前腕を組んでいきます。構造はそれほど難しくはありませんが、各部をキレイに切り出せているかをよく見ておきましょう
手首は前方にスライドして90度内側に折れ曲がる構造です。それを組み込んで装甲で固定します
ハンドはそれぞれの指先に砲口パーツを取り付けます。親指以外は第2、第3関節が可動できます!親指は第3関節のみ可動になります
それぞれの指を手のひらパーツに組み込んでいきます
ハンド完成!
それぞれのブロックをドッキングさせれば太い腕部が完成します
この大きさなのに通常のガンプラの可動性能を感じられます!
上半身を仮組してみました。これだけでも大迫力ですね
いったん取り外して各部のメガ粒子砲にシールでのディテーリングを行います
腕部を胴体部にドッキングさせる場合は180度腕をあげさせます。ツメによる脱落防止と引き出し式肩関節を実現します
頭部も後ろ向きでドッキング、正面に向けます。外すときはこれらの機構を忘れないように!
高い可動性能を魅せる腕部でポージングにも期待できます
前編はここまで!
ここまで「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」の組み立てはいかがだったでしょうか。前編は上半身までの組み立てでしたがモビル・フォートレス形態への変形も考慮されつつ各部ディテールもカラーパーツで実現していたり、ガンプラが積み重ねた技術をいかんなく発揮しているところだと感じられたと思います。
まだ上半身だけしか組みあがっていませんが、大きいパーツはぐにゃぐにゃすることもなく剛性も問題なくて組んでいて安心感がありました。メカディテールも過不足ない感じで他のZガンダム系HGキットと並べても遜色なく、機体が持つ凶悪さも表現されているように感じました。
【ファンの想いが実った「HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II」】
前編は上半身の組み立てをお届けしました
ツインアイも別パーツ化された頭部
素晴らしいディテールとギミックが各所に見られます
上半身だけでも大迫力です。全身組みあがったらなお驚くと思います!
後編では脚部と腰部で構成される下半身と、シールドやリフレクター・ビットといった装備類、スタンド類の組み立てとなります。現在のガンプラの基準で設計されているので可変機構や全身の可動性能の確認も完成後の楽しみとなってきましたね。それでは後編をお楽しみに!