歴代ガンダムの中でも屈指の人気を誇るこの機体はその人気ゆえガンプラではHGやMG・RG、完成体フィギュアなどでも様々に立体化が行われてきていますが、このたび入門用プラモデルシリーズ「ENTRY GRADE(エントリーグレード)」となって発売されました。ガンプラ的には「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」「ENTRY GRAADE 1/144 ストライクガンダム」が発売されており、シリーズ第3弾にあたります。
プラモデルの組み立てに必須とされる工具のニッパーさえも必要なく、パーツ分けによって設定に近いカラーリングを再現しながらあっという間に組みあがってしまう「ENTRY GRADE」の登場にガンプラ界は衝撃を受けました。最初の「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」は一時入手が困難になるほど大人気となりました。
そして今回の「ENTRY GRADE 1/144 νガンダム」登場にはもう一つストーリーがありまして、2022年4月25日から西日本初・福岡に「実物大νガンダム立像」が建造・公開されるタイミングに合わせたものにもなっています。現地では実物大νガンダム(RX-93ff νガンダム)の限定版アイテムが発売されますが、その中に「ENTRY GRADE 1/144 RX-93ff νガンダム」があります。今回レビューするνガンダムに現地立像と同じく背面に「ロングレンジ・フィンファンネル」を装備しての発売となります。
それでは先行で発売される形となった「ENTRY GRADE 1/144 νガンダム」を組んでいきましょう。「ENTRY GRADE」ならではの組み立てやすさや可動性能などはどういうものになったのでしょうか。最初の「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」の衝撃をもう一度味わえるかとても楽しみなキットです。公開前の福岡の実物大νガンダムへの思いを込めながら制作スタートです!
パッケージを確認。ENTRY GRADEならではのパーツの少なさ!
それではパッケージ内容を見ていきましょう。キットはA~Dの4種のランナーと組立説明書とマーキングシールというとても少ない構成になっています。78ガンダムよりはパーツ数は多く、ランナーの状態を見ていると「これはHGシリーズでは?」とも思ってしまうのですが、νガンダムは後継機ですのでサイズも機構も大きくなっているためだと推測できます。ENTRY GRADEの組み立てやすさがスポイルされていなければいいなぁ……と思っていましたが組んでみるとサクサク組みあがるのでとても楽しいです。
組立開始!ENTRY GRADEならではの組み立てやすさ
それでは組立開始といきましょう。やはり気になるのは組み立てやすさですね。78ガンダムで感じられた衝撃は得られるでしょうか。ENTRY GRADEは“タッチゲート”と言われる成形方法をとることによってニッパーなどの工具は必要ありませんので使わないで組み進めていきたいと思います。ランナーからパーツを外すときには“パチン”という音がするまで力を入れる必要があります。アンテナなど細かったり細かいパーツは破損が怖いのでニッパーを使う方がいい場合もあります。
まずは頭部からです。ENTRY GRADEシリーズでは少ないパーツで組みあがるのですが、カラフルな頭部でさえもその思想は貫かれています。ENTRY GRADEでは“シェーディングモールド”という表現方法を使うことで一段落ちた部分の黒は本物の影にまかせればいい、という思想で設計されています。
頭部ではツインアイ部分で使われていますが、組んでみると効果をまざまざと見せつけてくれます。ツインアイには光が当たって目の形になっているし、そのまわりの黒の縁取りは影で表現されているのがわかります。マスクや両サイドのスリットにスミ入れしてやると、より引き締まると思いますのでぜひチャレンジしてみてください。
ボディの組み立てにとりかかります。ここからENTRY GRADEならではの組み立てやすさがじわじわと沸き立ってきます。これまでのガンプラの設計を活かして組み立てなければならなかったパーツや関節構造をなるべく一体成型で実現、可能な限り可動性能を持たせたうえで組み立てやすさ優先で設計されています。
バックパックには「HGUC 1/144 RX-93 ニューガンダム」に付属するフィン・ファンネルやバズーカをマウントできるようになっています。重量物をマウントするため剛性感のある構造でありつつも単純な構成となっています。
やっぱりイケメンさんです
腕部を組み立てる。練り込まれた設計を堪能する
腕部もこれでもか!と言わんばかりの簡単組み立て構造になっています。上腕・前腕はスライド金型による一体成型になっていて簡易フレームに被せるだけです。いやもう、すばらしい……ここまでですでにENTRY GRADEの魔法にかかってます。
腰部を組み立てる。ENTRY GRADE伝統の連邦マークは今回も!
ENTRY GRADEのガンダムの腰部は連邦マークを成形で再現するという伝統(?)がありますが今回も無理なく再現できていてすばらしいです。脚を接続するボールジョイントの軸や腰部基部がメカ色ではありませんが組みあがってしまえばなんの違和感もありません。前後左右(左右は後ほどとなります)のアーマーも色分け再現ばっちりです。
脚部を組み立てる。一体成型された大きな脚部は必見!
脚部は腕部同様になるべく一体成型することを軸に色分けと可動性能を持たせたうえで組み立てやすさが段違いです。大きな脛と膝部はスライド金型で一体成型、それを本体として簡易的な内部構造と足首から先を入れ込むイメージです。後はめ方式の膝関節はそれだけで二重関節でもあり、塗装する方にもピッタリですし組立自体も簡単組み立てを実現する構造だといえます。
装備を組み立てる。装備も簡単組み立てで満足のできばえ!
装備はビーム・ライフルとシールドです。どちらも2色で構成されていますが面が広いのでスミ入れしてやるとぐっと引き締まります。シールド裏の構造もしっかり別パーツ化されていてそのディテール感が楽しさをもたらします。福岡の限定版ENTRY GRADEにはこれらの装備は付くのかが気になりますね。もっともロングレンジ・フィンファンネルの存在感がすごそうではあります。
完成!「ENTRY GRADE 1/144 νガンダム」
ここまであっという間でした!慣れている方なら2時間もあれば組みあがってしまうのではないでしょうか。ENTRY GRADEは入門用ということではありますがガンプラに詳しい方にとっては技術の集大成を見ることもできて、誰にとっても楽しめるキットになっています。
EGからスタートしてHGやMG、RGなどへステップアップしていってもいいでしょうし、EGを素体にさらにディテールアップやバランス調整に向かってもいいと思います。サクサク組んでそれだけでカラフルでかっこいい今どきのガンダムが出来上がるこのENTRY GRADEシリーズはすばらしいですね!
「ENTRY GRADE 1/144 νガンダム」のレビューを終えて
最初の「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」の時に開発担当者の話として、「簡単組み立てを実現するにはやはり78ガンダムがチャレンジする対象として最適だった」というお話がありました。そのうえで「いずれ別の機体を……」ということも伺っていたのですがストライクに続き、このνガンダムまでリリースされるとは……しかもこの短期間で!というのが率直な感想でした。
こういったシリーズの場合、後発になるにつれ当初の理念から逸脱していくものですがこのキットは最初の78ガンダムから何一つ取りこぼすことなくシリーズ商品として完成されていると感じました。ガンプラが持つイメージ……組み立てるだけで設定どおりのカラーリングとスタイリング、信じられないほどの可動性能は40年を超えたガンプラだからこそできる技術の積み重ねだと思います。
今回のEGνガンダムではその技術と構成をさらに磨き、1つのパーツにまとめ上げて組みやすさと可動性能をバランスさせているのはすごいなぁ、と感動するばかりです。入門用と位置付けられていますが注ぎ込まれているのはこれまでの技術の集大成でもあるわけですね。次のENTRY GRADEのガンプラはどの機体になるのか楽しみでしょうがありません!そして福岡の実物大νガンダム立像を早く見てみたい!
本帖最后由 红色的风 于 2022-04-13 13:51 编辑