
ドラマティックなストーリーとナイトメアフレーム(以下KMF)による迫力の戦闘シーンで知られる「コードギアス」シリーズ。第1作『コードギアス 反逆のルルーシュ』立ち上げから参加し、最新作『コードギアス 奪還のロゼ』(以下『奪還のロゼ』)においても新たなKMFのデザインを手がけた阿久津潤一氏に、デザインのポイントや「METAL ROBOT魂 <SIDE KMF> Zi-アポロ」についてお話をうかがった。
(月刊ホビージャパン2024年9月号より抜粋)
――今回、新たに登場したZi-アポロ、Zi-アルテミスのデザインのポイントを教えてください。
阿久津:Zi-アポロとZi-アルテミスが合体するというアイディアは発注時からありました。合体はこれまでのKMFにはない要素だったので、最初は少し悩みました。「この世界における合体メカとはどういうものか」を考え、最終的には合体後の形態がオレンジ(サザーランド・ジーク)のような塊感のあるものという方向性でまとめました。Zi-アポロは、タイトでスリムなプロポーションを目指してデザインしています。とはいってもKMFのデザインワークは私ひとりでどうこうというものではなく、いろんな方の力があって完成しています。Zi-アポロも最終的な決定稿はCGモデルなわけで、そのCGに落とし込む前に、メカニックデザイン担当の重田智さんに咀嚼していただいています。また暁改など前作に登場した機体はCG制作の武右ェ門さんがデザインされています。自分の描いたイメージは第1幕の劇場入場特典のビジュアルシートのイラストにそのエッセンスを盛り込んでますので、実際のCGと見比べてみるのも面白いと思います。

▲画像左:3DCGで描かれた公式設定ビジュアル/画像右:第1幕入場者特典 ビジュアルシート
――「METAL ROBOT魂 <SIDE KMF> Zi-アポロ」をご覧になられていかがですか?
阿久津:自分の中には3つのレイヤーがあって、ひとつはメカデザイナーとしての自分。ひとつは玩具開発会社の社員としての自分、そしてオモチャが大好きという自分があります。自分の中ではこの3つ目が一番大きくて、こうして実際に商品化されたものを目にするのはある種のご褒美と受け止めています。最初に描いたものが映像の中の姿になって、映像から飛び出して立体になるのは、とても感動的です。Zi-アポロは意図的にスリムなシルエットにしているので、それこそコンマ何mmで肉厚を追い込んでいるとか、シルエットを変えずに関節の可動域を確保してるとか、あと、ランドスピナーのZi-アポロ独特の展開ギミックも、ROBOT魂だからこそ再現できた部分だと思います。これをきっかけに他のKMFも展開していただけるとオモチャ好きとしてはうれしいですね。(立体化していない)カムデンと並べてみると楽しいかなぁと考えていたりします(笑)。


(2024年6月 アストレイズにて)
阿久津潤一(あくつ・じゅんいち)
プレックス、ビークラフトを経て現在はアストレイズに所属。メカデザイナーとしてコードギアスシリーズに参加し、最新作『奪還のロゼ』まで数多くのKMFを手がけている。代表作はガンダムシリーズ、『ダーティペア』、『GEAR戦士電童』、舞-HiMEシリーズ、『宇宙をかける少女』『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』など。また「ガンプラ」「METAL BUILD」、カプセルトイ、食玩などの玩具デザインにも携わっている。
このインタビューのフルバージョンは、月刊ホビージャパン 2024年9月号(7月25日発売)にて掲載!