「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)」を待ち望んでいたファンは多いのではないだろうか? YF-21は「マクロスプラス」に登場する可変戦闘機で、「YF-19」と共にもう1つの主役機だが「DX超合金マクロス」シリーズにおいて、YF-19は2018年に発売されているのだが、YF-21は今まで商品化されなかった。
今回、ついに「DX超合金マクロス」シリーズにおいてYF-19とYF-21を並べることが可能となった。本稿では「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)」"変形"レビュー後編として、商品の魅力を深掘りしていきたい。
「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)(以下、DX超合金YF-21)」は初見だとちょっと複雑な変形機構を持っている。このため、弊誌ではサンプルを借り、前編・後編の2回にわたり変形のメカニズムを中心としたレビューを行うこととした。
前編ではYF-21の基本的な設定と、ファイターからガウォークへの変形手順を紹介した。後編ではガウォークからバトロイドへの変形。さらには追加装備の「ファストパック」、ハイ・マニューバ・モードへの変形を紹介していきたい。ぜひ前編と合わせてお楽しみいただきたい。
今回はさらに筆者が持っている「DX超合金 VF-19ADVANCE」との撮影もしてみた。VF-19ADVANCEは「劇場版マクロスF サヨナラノツバサ」に登場する機体で、厳密には「マクロスプラス」のYF-19とは別機体なのだが、外見はそっくり(マーキングなどが異なる)なため、YF-21 VS YF-19の雰囲気は味わえる。おまけとして楽しんでいただければ幸いだ。
なお、公式のマニュアルも一緒に見るとより細かく変形システムがわかるので、ぜひ活用して欲しい。
ゼントラーディ技術が色濃い、独特のプロポーションのバトロイド
YF-21はエンジンやステルス技術、ピンポイントバリアシステムなど、YF-19同様作中の最新技術を盛り込んだ試作機だが、YF-19以上に「ゼントラーディー」の技術を投入している。
YF-21のその傾向がはっきりわかるのがバトロイド形態である。YF-21のバトロイドのプロポーションはゼントラーディーのバトルスーツ「クァドラン・ロー」に近いバランスとなっている。大きなバックパックにエンジンを搭載し、足の付け根が胴体中央近くにある腰高なプロポーション、このプロポーションはクァドラン・ローに搭載されていた慣性制御装置を使用しているためだという。
前回でファイターからガウォークへ変形させた「DX超合金YF-21」だが今回はガウォークからこのバトロイドへ変形させていく。バトロイドへの変形には最初に「コクピット」を変形させる。バトロイド時YF-21は機首が垂直になり、パイロットは機首ではなく、それまで天井だった部分、キャノピーを正面にする。さらにキャノピーは強度を増すための装甲で覆われる。
「DX超合金YF-21」はコクピットを組み換えることで、設定通りパイロットがキャノピーを正面にした形で座らせることができる。キャノピーパーツも透明だった部分が黒く変わった装甲状態のパーツが用意されており、コクピット回りの強度が上がったことが視覚的に確認できるようになっている。
次の変形は足だ。ガウォークでは逆関節に曲げていた足を真っ直ぐにし、延長していた足首は押し込む。次は機首を折り曲げる。ツメかけ部分を引き出し、ここに折り曲げた機首を固定する。その次は頭部ブロック。引き出して首部分を露出させた後、首の基部を機首の折り曲げ部分にかぶせるように移動し、凹凸を合わせしっかり固定する。
ここから機体後部を折曲げていく。背中のブロックを機体から離した上で、上方向に移動。そしてエアインテーク部分を支点にバックパックを持ち上げながら折り曲げていく。この時バックパック内側のグレーの「クランクフレーム」を引き起こし、接続用の凸部分をはめ変える。これによりバックパックが本体から少し離れた位置で固定されるようになる。
そしてガウォーク時以上にバックパックをコンパクトにする。隙間を埋めていたシャッターパーツを引っ込めた上で、エンジンブロックごと前進させる。さらに主翼をバックパック内側に折畳む。また内側には「バトロイド用ジョイント」を取り付ける。このパーツによりバックパックの位置がより安定するのだ。
ここから胸ブロックの移動となる。ちょっとコツがいるところで内側の灰色のパーツを水平に持ち上げる必要がある。胸ブロックを掴んで垂直になっている接続パーツを水平にするのだが、最初はちょっと固いかもしれない。説明書には透過図もあるので、これを参考に動かしていこう。胸の位置が決まったらジョイントパーツを腰部分に接続、バックパック上部も調整する。
最後にエアインテークにカバーを付け、顔部分を引き出す。最後は足の付け根を引き上げて変形完了だ。 赤いセンサーパーツが目を惹く、ちょっと悪役っぽい顔をしたYF-21のバトロイド形態が完成となる。次ページから全身をチェック、ポーズを取らせていこう。
手足の自由度が高いバトロイド形態、さらにファストパックを紹介
「DX超合金YF-21」バトロイド形態の全身を見ていこう。大きなバックパックを背負い、腰高のプロポーションは他のバルキリーとは異なる独特のバランスだ。顔のデザインも面白い。
YF-21は”2丁拳銃”のように構えられる2つのガンポッドが面白い。YF-21のガンポッドはステルス効果を重視してか直線的なシンプルなデザインで、他のバルキリーに比べて小型だ。腰の装甲の両方に接続されているので、両手に一丁ずつ構えることができる。YF-21は前腕に固定武装としてレーザー機銃を装備している。手の自由度は高いので様々なアクションポーズが楽しめる。
「DX超合金YF-21」はさらに「ピンポイントバリアパンチ」用のエフェクトパーツを同梱している。こちらは手首ごと差し替えて装備する。エフェクトパーツは2つあるので両手でのパンチも可能だ。
このほか「DX超合金YF-21」の注目ポイントとして「ファストパック」がある。バルキリーは初代のVF-1から(さらにその前のVF-0も)様々な追加装備が用意されており、これらを装備するのもバルキリーの楽しみだ。
YF-21、そしてYF-19では「ファストパック」という特殊装備が登場した。VF-1やVF-11といったこれまでのバルキリーでは「スーパーパック」という宇宙装備が存在し、大型のブースターに推進剤、そしてミサイルポッドやビーム砲などを備える大型装備だが、ファストパックは機体のシルエットをあまり変えないコンパクトな装備となっている。
ファストパックはコンパクトであるが推進剤とブースターが内蔵されており、機動力強化と宇宙空間での活動時間延長の能力がある。さらにマイクロミサイルランチャーにより武装面も強化される。スーパーパックは大型のため宇宙専用装備だが、ファストパックは空力も考えられており、宇宙だけでなく大気圏内でも使用可能だ。
「DX超合金YF-21」ではファストパックも同梱されており、設定同様バトロイド、ガウォーク、ファイター形態でそれぞれ装備可能だ。写真で紹介したい。次章ではYF-21の秘めたる能力「ハイ・マニューバ・モード」へ変形させていこう。
「一杯やるのが楽しみだ」、リミッターを解除する切り札「ハイ・マニューバ・モード」
YF-21は他のバルキリーにはないハイ・マニューバ・モードが設定されている。バックパックにエンジンがあるYF-21は、ファイター時には手足は完全にバックパックに収納され、いわばデッドウェイトとなっている。
ハイ・マニューバ・モードはこの手足を投棄して身軽になり、さらにエンジンのリミッターを解除し、機体の限界近くの高機動を実現する。結果パイロットへかかるGは凄まじいものとなり、その命を危険にさらす。まさに「最後の切り札」といっていい機能である。劇場向けに再編集された「マクロスプラス MOVIE EDITION」では、このハイ・マニューバ・モードでの戦いは「伝説の5秒」として、今でもアニメション作品の到達点の1つとして語られるほどのシーンだ。ぜひ見て欲しい。
このハイ・マニューバ・モードは単純に手足を取りはずすだけでなく、機体底面がシャッターに覆われるという独特の変形をする。「DX超合金YF-21」ではこのハイ・マニューバ・モードへの変形を実現している。
ハイ・マニューバ・モードはガウォークの形からの変形が一番やりやすい。まず一度ガウォークに変形させる。ここから足を取りはずすのだが、「DX超合金YF-21」は、腰に専用の取り外し機構が備わっている。腰部分中央の「ロックボタン」を押すことでロックが引っ込み、両足を股間パーツごと引き抜くことができる。
次は腕だ。「DX超合金YF-21」の腕は長いアームで接続されており、このアームでファイター時にはバックパックの収納位置に移動できるように設計されているが、アームの肩側部分を引き抜いて外すことができる。残ったアームはファイター形態時と同じように180度回転させてから収納する。翼の付け根も同様にファイター時に戻す。
最後はバックパック部分。バックパック側面の装甲を開いた上で、底面の装甲を押し下げる。これにより底面にシャッターパーツを接続できるようになる。ハイ・マニューバ・モードの底面はシャッターに覆われるのだが、「DX超合金YF-21」は大型の1パーツですっぽりと覆うようになっている。さらに側面にもシャッターパーツを取り付け側面の装甲を戻せば変形完了だ。もちろんコクピットはファイター/ガウォーク用に戻しておく。これにより、劇中でも印象的なハイ・マニューバ・モードを再現できる。
ハイ・マニューバ・モードは手に持つとファイター時に比べてびっくりするほど軽い。「DX超合金YF-21」は”重さ”でもハイ・マニューバ・モードの意義が実感できるのが楽しい。最後は筆者の「DX超合金 VF-19ADVANCE」とこの「DX超合金YF-21」を並べて撮影してみよう。
宿命の対決! DX超合金でYF-21とYF-19を並べて撮影
「マクロスプラス」劇中で、YF-21とYF-19は激しく戦う。次世代の主力可変戦闘機の座を巡り共にテストを行うだけでなく、YF-21に乗るガルド、YF-19に乗るイサムは因縁があり、両機は対決することになるのだ。
「DX超合金マクロス」シリーズではYF-19は2018年に「DX超合金 YF-19 フルセットパック」、2023年に「DX超合金 YF-19 エクスカリバー(イサム・ダイソン機)」が発売されている。筆者はこの前の2015年に発売された「DX超合金 VF-19ADVANCE」を持っており、今回、この商品でYF-21とYF-19の対決をイメージした撮影をした。
VF-19ADVANCEは「劇場版マクロスF サヨナラノツバサ」に登場する。商品としての「DX超合金 VF-19ADVANCE」は、フォルムは「マクロスプラス」のYF-19そのまま。一部のカラーリング、およびマーキングが「劇場版マクロスF」に登場したものとなっている。アドバンストパックが同梱されており、劇中の姿を再現できる。
今回はこの商品と「DX超合金YF-21」を「マクロスプラス」の劇中の雰囲気を意識して並べてみた。筆者自身、「DX超合金 VF-19ADVANCE」を手に入れたときからずっとこうやって遊びたいと思っていたが、ようやくかなえられた。
「DX超合金YF-21」はちょっと複雑な変形システムを持っているが、慣れるとスムーズに変形できる。実在の試作戦闘機YF-23に似たフォルムを持つファイターから、底面の装甲が開いて手足が出るガウォーク、そしてゼントラーディーの兵器の雰囲気を持つバトロイドと変形させ各部をチェックし、動かすのが本当に楽しい。
そして今回「DX超合金 VF-19ADVANCE」も一緒に変形して気がついたが、「DX超合金YF-21」は変形システムが「DX超合金 VF-19ADVANCE」の頃からさらに練り込まれているのが実感できた。もちろん全く異なる変形なので厳密な比較ではないが、合金部品や軟質素材の使用箇所、ツメかけなどの各パーツの位置を決める工夫、可動フレームの設計や、重いバックパックをしっかり安定させるストッパーなど、「DX超合金YF-21」はこれまでのシリーズの変形システムの集大成となっていると感じた。シリーズの進化を実感できる商品だ。
「DX超合金YF-21」は高価であり、人気も高く入手が難しい商品ではあるが、ぜひ手に取って欲しい。間違いなく満足を得られる商品である。