コトブキヤの「SF×ファンタジー」を題材とした「アルカナディア」シリーズからインパクト抜群の獣人型ディアーズ「エレーナ」が2月26日に発売した。価格は9,790円。
天使、悪魔、キツネと展開してきた「アルカナディア」シリーズ。その第4弾となる「エレーナ」は人馬モチーフで、馬体の造形などこれまでのキットとは異なるアプローチとなっている。





イラストレーター「Zトン」氏によるキャラクターデザインで色々とデカイスタイルが目を見張る立体化となっている。
「アルカナディア」シリーズの特徴である非戦闘状態の「ノーマルモード」と戦闘状態の「ウィライズモード」の2種類にすることができる。戦闘状態の「ウィライズモード」では‟鎧を纏った騎士”の姿となっており、胴体の甲冑の重厚感に加えシールドに大型のランスでカッコ良さが際立つ。
人馬という抜群の個性をプラモデルでどのように表現されているのか。「アルカナディア エレーナ」の魅力を見ていこう。
大ボリュームの内容物に情報満載のパーツがぎっしり
パッケージを見ていこう。シリーズの中でも大型のキットで、パッケージもその分大型。パッケージイラストには「Zトン」氏による凛々しい「エレーナ」が描かれている。
中にはAからZのランナー合計19枚とフェイスパーツ4種、上耳パーツ×2、ハンドパーツ、塗装済みパーツ、取扱説明書が収録されている。
ランナーは多彩な成形色と細かなパーツ造形となっている。その中でも半透明の成型色で出力されたGパーツは艶のある質感に透けて見える雰囲気が表現されている。
内容物を確認したところで次は組み立て工程を見ていこう
「アルカディア」シリーズ最大級のボリュームで組み上げる魅惑のボディ
ここから組み立て工程を紹介していく。
最初は頭部パーツ。前髪、フェイス、後頭部で構成され、さらに頭頂部の一部パーツと耳のパーツが組み替え可能な仕組みとなっている。
「エレーナ」は両側に出る耳部分がアクセサリの造形となっており、頭頂部がピンとした上耳パーツとなっている。顔のラインも細く大人びた印象を受ける。
表情パーツの凛々しさも相まって利発的な雰囲気が感じられる。
胸部パーツの注目は大型のバスト部分。デカイの一言に尽きるサイズ感もさることながら、半透明の成型色で肌にピッタリとした艶のある質感とこれまでにない表現が取り入れられている。
背中の6角形の接続口には魔法陣型のものと紋章の2種類を選択して取り付けることができる。
腹部も腰のラインや可動が仕込まれた緻密な造形となっている。また正面部のパーツは「ウィライズモード」時のパーツと差し替えができ、こちらも新しい差し替え方法が取り入れられてる。
通常の人型ではT字の接続軸となるが、「エレーナ」では一軸の接続軸が採用されている。
そして、最大の特徴である馬体部分。大きく3ブロックでパーツが構成されており、前脚と胴体へ繋がる箇所で可動軸を有している。
パーツサイズも大きく、ボールジョイント可動部も大きくしっかりとした作りとなっている。また、装飾品をはじめ筋肉の造形も余念がなく緻密な造形となっている。
尻尾パーツも髪の毛同様に緻密な造形をパーツ分けによって表現している
続いて、「ノーマルモード」の腕部。左右でデザインが異なり、右腕は素肌、左腕はアームカバーのようなデザインとなっている。「ノーマルモード」のためデザインは非常にシンプルにまとまっている。
次に馬体の前脚と後ろ脚。前脚は脛あてなどの鎧パーツが付き、細身で長い脚線となっている。後ろ脚は言わずもがな馬力抜群といわんばかりの力強い造形となっている。
また、蹄部分は細かくパーツ分けされ、積層することで色分けを表現している。
ここまで組み立ててきたパーツを合わせることで「エレーナ ノーマルモード」が完成する。
「ノーマルモード」ができたところで武装状態の「ウィライズモード」のパーツを組み立てていく。
頭部は前髪パーツと頭頂部を組み立て。前髪はアクセサリが増え、頭頂部は帽子パーツが付く。
胴体部はバスト、胸元のエンブレム、腹部パーツを組み立て。鎧を纏ったパーツとなっており、少ないパーツの差し替えで重厚感ある造形に変化させる。
腕部は二の腕の鎧とアームガードに革製の鎧を彷彿とさせるデザインでノーマルよりもボリュームのある造形となっている。また細かいベルトパーツなどもアクセントとなって情報密度の高いデザインが再現されている。
馬体では、前脚に大きめの脛あてと前掛け、サイドアーマーとベルトを組み立て。
前掛けパーツやサイドアーマーは金属質というより革製の身軽な装備という印象となっている。サイドアーマーも腰回りを守るためボリュームのある造形となっている。また、尾部にはベルトが付き、騎馬らしい雰囲気をより強めている。
武装のシールドは特徴的なチェッカー模様が成形色で表現されている。2層に分かれて伸縮ギミックも搭載している。また、装飾部分は2種類ありどちらか一つを付ける形となる。
そして、大型のランスは「エレーナ」本体を超える長さとなっている。先端も選択することができる。
また、シールドを保持するアームやランスを持つ際に本体を保持するための補助パーツも付いている。
最後に専用台座を組み立てる。台座は馬体下部に接続する形で使用する。
「エレーナ ノーマルモード」から各パーツに差し替えることで「ウィライズモード」にすることができる。
(C) KOTOBUKIYA
力強い躍動感と繊細な仕草で騎士と乙女を表現
完成した「エレーナ」の各モードを見ていこう。
「ノーマルモード」からすでにこれまでの「アルカナディア」シリーズとは異なる圧倒的な存在感を放つ造形となっている。頭部パーツも上耳がない状態にすることもでき、別売りの「アルカナディア ヴェルルッタ」の耳パーツを使えばエルフ風のデザインにすることができる。
しかし、豊富な表情パーツや可動で繊細な仕草や可愛らしさも表現でき、培われてきたコトブキヤの技術力が感じられる。
また、別の「アルカナディア」シリーズと並べるとその身長差で様々な表現が楽しめる。
次は「ウィライズモード」を見ていこう。
こちらは鎧を身に纏い情報量が増加するとともにカッコ良さが際立つデザインとなっている。大型のランスを携えて、駆け抜ける力強さが想像でき騎士らしい威厳ある姿が楽しめる。
また、パーツの組み替えでその装いの変化も楽しめ、カスタムのポテンシャルの高さがうかがえる。
何より人馬という特殊なデザインでしか表現できない疾走感と力強さを合わせたアクションは迫力満点となっている。
パーツの組み替えでは、武器と馬体を組み合わせることで「軍馬」イメージしたシルエットにすることができる。
別売りの「アルカナディア」シリーズを乗せて遊ぶこともできる。
以上、「アルカナディア エレーナ」レビューをお送りしてきた。
「アルカナディア」シリーズ最大のボリュームとサイズ感で迫力満点のキットとなっている。特に人馬のデザインのインパクトもさることながら、プラモデルで躍動感ある馬の筋肉が緻密に表現され、アクションの説得力を上げている。
最初こそポーズの付け方が想像しにくかったが、腕や足を浮かすとその造形から連想される力強さが伝わってきてポージングの奥深さが感じられた。
今後の「アルカナディア」シリーズではどのような表現や造形が取り入れられていくのか期待したい。
(C) KOTOBUKIYA