【HG 1/144 ティフォエウスガンダム・キメラ】
開発・発売元:BANDAI SPIRITS
発売日:12月16日
価格:8,800円
全高:約257mm(ティフォエウスガンダム・キメラ)約163mm(ティフォエウスガンダム)
"巨大!"12月16日にBANDAI SPIRITSが発売する「HG 1/144 ティフォエウスガンダム・キメラ」は、そんな言葉がピッタリな「HG」ガンプラだ。「ガンダムビルドシリーズ」10周年記念映像『ガンダムビルドメタバース』第3話「TRY&FIGHT」に登場するモビルスーツで、「ラファエルガンダム」をベースとした大型機。劇中では、敵として主人公「リオ」の駆る「ラーガンダム」と対峙する。
その威容はどこか「パーフェクトジオング」を思わせる。パーツカラーは赤と金で構成されており、手足パーツにはリード線を用いた射出ポーズでのディスプレイも可能だ。リフレクタービットも備え、強力な射撃性能を備えた巨大MSとしてカッコよくまとまっている。今回はこの巨体を実際に組み立て、充実したボリュームを味わってみよう。
総ランナー数23枚! 強力な手応えのあるHGガンプラ
本製品のランナー数は、エフェクトや台座、PCパーツ込みで23枚。HGガンプラにしては破格の枚数で、「サイコガンダムMk-II」の外装を「クタン参型」に装着するための専用パーツや、「ラファエルガンダム」がベースとなった「ティフォエウスガンダム」を作り上げるランナーで構成されている。
華奢でしなやかなティフォエウスガンダムの組み立て
「ティフォエウスガンダム」は鍛え抜かれた戦士のような見た目。「ティフォエウス」はギリシャ神話に登場する巨大な怪物の名前であり、怪物が人型に化けているようなイメージを抱かせる。
ではまず「ティフォエウスガンダム」を頭部から順に組み立ててみよう。ほとんどの部分は装甲を半分に割った状態から組み立てるものだが、鍬形のパーツが専用造形であるだけで大きくシルエットと印象が変わるのは面白い。
胴体も「ラファエルガンダム」に専用の前面装甲や首装甲を組み付けることで再現する。肩関節はボールジョイントとすることで剛性と可動範囲を確保している印象だ。赤い装甲を組み付けると内部に造形されていたスラスター部が現れる。従来作品に登場したMSをリビルドして新規機体として登場させる点で、「ガンダムビルドシリーズ」の創造力に驚かされる。
手足は筋肉を思わせるしなやかな造形で、肩や腰に豪奢な金色の装甲パーツが付く。こうなると赤と金のカラーリングに丈夫そうな装甲で古代ギリシャのスパルタ兵のようにも見えてくる。
元の「ラファエルガンダム」がシンプルなキットということもあってか、「ティフォエウスガンダム」の組み立てはかなりシンプルだ。肘の可動域は狭めな一方で膝の可動域が広いが、大きく張り出した腰の装甲パーツで足を少し動かしにくいのは少々残念。だが股関節を大型のボールジョイントでしっかりと保持しており、以降のパートで重量級の「クタン双竜型」足パーツを取り付けてもある程度アクションが取れる点は大きな魅力といえる。
そして、「ティフォエウスガンダム」の武装パーツとして一部「ティフォエウスガンダム・キメラ」形態の武装を作る。「滑腔砲」は大きなパーツをスパッと2分割しており、「GNビームライフル」はグリーンのクリアパーツを挟み込むだけで簡単だ。
シールドは後ほど「ティフォエウスガンダム・キメラ」の足パーツの装甲にもなるので、忘れず2個組み立てておこう。シールド内側に「リフレクタービット」を取り付ける。
怪物に変じる「ティフォエウスガンダム・キメラ」が巨大で壮観
次いで「ティフォエウスガンダム・キメラ」を組み立てよう。ユニットが完成するごとに「ティフォエウスガンダム」に取り付けていく形で、「ティフォエウスガンダム」がだんだん巨大化していくのが面白い。組み立てに複雑な部分はないが、軸可動の関節を押し込む部分など、少々気を遣う部分は多い。
「クタン参型」では白いシールドを搭載した部分に、「クタン双竜型」では赤いシールドを取り付ける。「ティフォエウスガンダム」のパーツが、全く違う「クタン参型」と「サイコガンダムMk-II」の橋渡しになる。先述したが、こういった「ガンダムビルドシリーズ」の発想に毎回驚く。
「サイコガンダムMk-II」の腕はまさに巨人のよう。頑丈な大型パーツで構成された腕を建造していく。手首を変形させて吸気口を展開するギミックもしっかりと搭載していて、もちろん前腕は取り外してリード線で接続し、展開できる。HGサイズなのに腕だけで手のひらサイズをはみ出しており、プラモデルの「組み立て」というより、巨大なモビルスーツの「建造」を楽しんでいるのだと思えてくる。
だんだんと「ティフォエウスガンダム・キメラ」組み立ての手応えを感じるようになってきた。画像にしてしまうと一瞬なのだが、P1ランナーとP2ランナーを反復横跳びしながら左右対称のパーツを組み立てるのは少々大変だ。
さらに完成するとシルエットが巨大な上にブロックごとに「ティフォエウスガンダム」に取り付けるため、半完成品が次々と輸送されてくるノックダウン方式のような面白さもある。部品の生産から組み立て、本社工場への輸送、完成品の建造まで全てを体験できるリッチな工場見学だ。
カメラとにらめっこしながら、撮影も込みで合計5時間ほどで建造が完了する。「ティフォエウスガンダム」とがっちりかみ合ったジョイントパーツで強大なボスMSの武装と堅牢な装甲に包まれた「ティフォエウスガンダム・キメラ」は、1つのガンダムシリーズ映像作品のボスにふさわしい赤と金、黒のカラーリングで、頑丈なリード線で武装を飛翔させるかっこよさと、主人公を追い詰める迫力に満ちている。
「クタン双竜型」へのゴールは、ヒーローロボットが勝利して強化メカを分離するようだ
説明書通りに組み立てると、最後に「ティフォエウスガンダム・キメラ」から「クタン双竜型」と「ティフォエウスガンダム」を分離させて完成する。「クタン双竜型」には自律飛行するためなのかコックピット部を取り付け、「ティフォエウスガンダム・キメラ」の足パーツを接続するためのジョイントも組み立てる必要がある。
『ガンダムビルドメタバース』本編での「クタン双竜型」と「ティフォエウスガンダム」の合体シーケンスはかなりカッコよかった。往年のスーパーロボットの合体のようで、太陽をバックに飛び込む「ティフォエウスガンダム」の姿はまさにヒーローだった。「ティフォエウスガンダム」の戦い方は、『機動武闘伝Gガンダム』のモビルファイターの格闘のようにも思え、ますますヒーローらしさを感じることができた。
「ティフォエウスガンダム・キメラ」の組み立ては非常に充実していて、手応えがあった。「クタン双竜型」は元の「クタン参型」と同様にMSを保護、輸送する機能もありそうで、赤い大型ブースターには大量に燃料を積み、大出力の推進で敵陣深くへ切り込んでいくのだろう。
その巨大さで見ている筆者を圧倒する「ティフォエウスガンダム・キメラ」は、1つ1つ簡単な組み立てを経て複雑なメカニックが組み上がる、ガンプラならではの楽しみをしっかりと味わえたガンプラだ。ただ1つの懸念材料は「これ、どこに飾ろう」だが、もし分解して押し入れにしまうことになっても、1つの巨大なガンプラに向き合って組み上げた記憶と達成感は一生残るだろう。