そして8月11日には早くもHGシリーズの第2弾が登場。それが本稿にてレビューする「HG ギルボウ」だ。「SYNDUALITY Noir」第3話にて、謎の黒仮面の男とそのパートナーのシュネーが乗る機体として活躍を見せ、オープニングにもその姿を現している。今回は素組みレビューをお届けしていこう。
異色の雰囲気と存在感を放つ純白のクレイドルコフィン
「SYNDUALITY Noir」第3話、快楽都市ディザイアネストにてカナタが出会った黒仮面の男が駆るのがこのギルボウである。エンダーズの群れと戦うカナタとエリーの前に現れ、左腕に備えた「エネルギー・インパクト・ブレード」で中型エンダーズを一刀両断し、メイガスのシュネーのメイガススキルにより、後方の敵を氷漬けにしたり、エンダーズを追うための氷の滑走路を作ったりと、ドリフターとメイガスの息の合った戦い方が印象的だった。
カナタに「純白のコフィン」と言わしめたそのカラーリングは、デイジーオーガやトキオのジョンガスメーカーのカラフルな機体色とは一線を画す、ほとんどが白色で、なおかつ直線的なデザインが特徴だ。
組みやすさと組み応えを両立した「SYNDUALITY」HGシリーズ第2弾
本題となるプラモデルは、完成後のボリュームの割にパーツはそれほど多くない。といって密度が薄いわけではないのでそこはご安心を。組み立ては胴体からスタート。「HG デイジーオーガ」と同様、コックピット内部まで作り込んであることがこのキットの売りの一つで、搭乗者の黒仮面のフィギュアが付属し、操縦時のポーズを再現している。
コックピットまで再現した胴体
コックピット内部は本体上部装甲をスライドさせて見ることができるが、車のボンネットのように大きく開けることもできるようになっていた。組み立て前に黒仮面やコックピットを塗装しても楽しむことができるだろう。またコックピットと同様、メイガスのシュネーが載る背面の「コフィン」と呼ばれる部位も開閉機構を備えている。スケールは設定されていないが、フィギュアの大きさから1/35スケール前後といったところだろうか。
キットにはシールが2種付属していて、ホイルシールは主に本体色の再現、マーキングシールは機体のマーキングに使用する。前者は組み立て時に指定があり、それに従って貼ることで素組みでもカラーを再現できるようになっている。ミサイルランチャーに格納されたミサイルの先端部分に直径2mmほどのシールを24枚貼るのはちょっと大変だったが、一体型のシールより見栄えはいいはず。
左右非対称でギミックも内蔵した腕部
腕は左腕にエネルギー・インパクト・ブレードの展開ギミックがあるため、左右非対称の構造になっている。指は親指のみが動く仕様だが、ディテールは細かく爪の先端まで造型されており、精度も非常に高い印象を受ける。また肘関節にはスライドさせる伸縮機構が内蔵されていて、腕を深い角度まで曲げられるようになっている。
脚部は3カ所の関節とともに、バーニアとスタビライザーが別途可動する、非常に変わった設計となっている。脚部を展開させておけばバーニアの付け根が前後にスイングし、さらにノズル全てがスイング可動するという自由度の高い設計だ。またかかとの部分は差し替え式で、ホバリング時の形状を再現することができる。
抜群の可動域を持つ特異なシルエットが完成
完成した胴体と四肢を組み立てれば本体が完成する。戦闘メカとしてはあまり例のない、頭部が存在しないシルエットは非常に印象深い。コックピット上面のフィンを目に、センサーを鼻のように見たてると、ちょっとコミカルになるのも面白いところだ。コフィン(=棺桶)とはよく名付けたもので、背面のシュネーが搭乗する部分は本当に棺桶のような観音開きのギミックがある。コックピットの黒仮面と違い、扉を開けば取り出すことも可能だ。
可動は前述の腕のスライド機構や脚部の多重関節など設計にも工夫が施されていて、かなりよく動く。独自のシルエットのメカなので、人型のそれとは印象が異なる、見栄えのいいポーズを付けたいなら、アニメのカットを参考にするといいかもしれない。可動に関しては、股関節をもう少し外側に開くことができれば、より安定感のあるポーズが取れるような気もした。
キットには簡易ディスプレイベースが付属するので、大きく重量があるギルボウを立たせる際に役立つ。エネルギー・インパクト・ブレードを展開して斬りかかるなど、劇中の躍動感のあるポーズを再現する際には、アクションベースを使用するとより安定する。
全身のマーキングで白いボディが一気に引き締まる
機体のマーキングは68種(枚数ではない)あり、貼るのには骨が折れるが、水転写デカールではないので難しくはない。白い機体なので、明るめに撮影をするとモールドが飛んで若干間延びしてしまう印象があり、マーキングシールを貼ることでそれが解消される。手間を惜しまなければ、マーカーやシャープペンなどで簡単にスミ入れをしてみるのも手だろう。
BANDAI SPIRITSがプラモデル化したメカの中でも、かなり異色な雰囲気を持った「SYNDUALITY」のクレイドルコフィン達。ギルボウはその中でもさらに異色の存在だ。プラモデルで作ってみることでさらなる魅力に気づけるとおもうので、ぜひ作ってみていただければと思う。また同日には「Figure-rise Standard ノワール」も発売され、そこから先のラインナップにも大いに期待をしたいところだ。