今回レビューするのはSD(スーパーデフォルメ)ガンダムシリーズからなんとMG(マスターグレード)フォーマットで新設計されたガンプラ「MGSD フリーダムガンダム」。「機動戦士ガンダムSEED」で、主人公“キラ・ヤマト”が劇中後半に搭乗するモビルスーツ「フリーダムガンダム」をガンプラ化したものです。
SDガンダムシリーズはその名の通り、ガンダムシリーズに登場するモビルスーツやキャラクターを低頭身で表現(スーパーデフォルメ)したものです。見た目通り愛らしいデザインになったガンダムキャラクターたちは原作をハチャメチャにパロディしまくり、独自のアニメやゲームを生み出すなどとても人気のあるシリーズに成長しました。
これらはもちろんガンプラ化されており、初期は「SDガンダム BB戦士」シリーズ(1987年~)から始まり、現在も時代に合わせた仕様となってリリースされ続けています。フリーダムガンダムは古くは2003年に「BB戦士」シリーズで登場しており最近では中国・上海の実物大フリーダムガンダム立像をモデルとした「SDガンダムEXスタンダード 【ガンダムベース限定】 ZGMF-X10A フリーダムガンダム Ver.GCP」が登場しています。
そんな歴史の長いSDガンダムのガンプラシリーズですが、イベント「GUNDAM NEXT FUTURE」にて突如として「MGSD フリーダムガンダム」が発表されました。SDのフリーダムガンダムをMG(マスターグレード)クオリティでキット化するという発表はファンを驚かせました。イベント会場に展示されたサンプルはMGシリーズの精密な設計が垣間見え、想像以上にかっこいい!そういう感想で期待を抱かせるものとなりました。
そしてキットの発売日は2023年1月と意外と早いこともあり、予約開始後はあっという間に完売してしまったようです。今回、開発中のサンプルをお借りして組み立てレビューをお届けしたいと思います。届いたランナーに並ぶパーツ群は確かにSDを想像させる大きさのバランスでありながらまさにMGシリーズを感じさせてくれているようです。組んでもMGシリーズを彷彿とさせてくれるのでしょうか? 筆者も楽しみだったこのキット、早速組んでまいりましょう!
なお、今回の記事は開発中の製品をもとに執筆しておりますので、実際の製品とは異なる部分がある場合がありますがご了承ください。
「MGSD フリーダムガンダム」のキット内容をチェック!
それではキットの内容をチェックしていきましょう。テストショットですので残念ながら箱はありませんでしたのでご了承ください。ランナーはAからIで15枚、ビームサーベル、マーキングシール、組立説明書となっています。MGフォーマット故細かいカラーリングをパーツ分けで再現!これは組み応えありそうです。
組立開始。これはまさしくMGを組んでいる手触り感!
まずは頭部から組み立てていきます。パーツを切り出して並べてみるとなんだかリアル頭身で大サイズのフリーダムガンダムを扱うかのような不思議な感覚になりました。組んでみるとこれはまさしくMGを組んでいる感覚!それでいてSDガンダムというシルエットの中でしっかりとディテールを魅せてくれます。
頭部のトピックスは、ツインアイをメタリックパーツとクリアーパーツの2重とすることで目の奥にディテールを持たせていることです。SDガンダムのバランスだと目が大きく、まさにアイキャッチなところがありますから、今後シリーズが続けばこれは引き継がれる仕様のように思います。組んで角度を変えてみるととても表情豊かです。
ボディ(上半身)を組み立てる
頭部は大サイズのリアル頭身のフリーダムガンダムという印象もありましたが、一転してボディはまさにSDガンダムのデザインバランスとなっています。それでも、MGフォーマットによって内部にはこれでもか! と関節を仕込み多彩な可動性能を獲得しています。
パーツ割りも細かく、もちろんカラーごとに分割されていて、しかもかっちり組み上がっていく様子はとても楽しい瞬間を味わえます。SDガンダムのプラモデルは、そのデザインから動かすとパーツが外れやすい印象がありましたが、そうならない工夫もありました。それでは具体的に見ていきましょう。
腕部を組み立てる
ボディがまさにSDガンダムのバランスでありながらとんでもない構造で驚きました。腕部も同様にシリーズを感じさせないほどのギミックと可動性能を持っているようです。肘は2重関節、しかも可動時には前腕を引き出すことでさらに可動させることが可能です。ハンドは指の付け根で可動し、まさしくMGクオリティを感じさせる腕部となっています。ボディ組立時に肩関節は抜けにくい構造を持っていたのがわかっていますのでそのあたりも見ていきましょう。
脚部を組み立てる
腕部は小さいながらも小気味よくがっちりとした組み応えを感じられました。さらにパーツが多く、組み立て工程も多い脚部は構成する要素も多くこれでもか! とMGクオリティをSDデザインに凝縮しているようです。若干トリッキーな組み方になる部分もありますから注意して組んでいきましょう。
膝関節は大腿部と脛部をリンクしながら想像をはるかに超える可動ギミックを備えています。脛部フレームへの外装の貼り付けもとても細かいパーツで実現されていてMGならではの組み応え。ソールはつま先まで可動を実現し、SDシリーズの概念を超えている印象です。
ボディ(腰部)を組み立てる
腰部もこれまで同様、各部のバランスはSDですがクラスを超える設計でMGを彷彿とさせる組み応えと剛性感を持っています。両サイドのレールガンは前後連動機構を内蔵しており、折りたたみ状態からスムーズに展開できます。大きなリアアーマーがSDらしさを強調していてかわいい部分でもあります。
バックパックと装備を組み立てる
フリーダムガンダムの特徴は、背中に背負った機動兵装ウイングです。多数のウイングで構成され、ビーム砲も備えているため、おのずと大きいものとなります。
MGSDでも設定どおりのウイングとビーム砲の展開を実現しています。MS本体と同じくらいの全長があるため、パーツ的にもとても大きく、多いキットの内容となっています。完成したバックパック本体にドッキングするとテールヘビーな傾向になりますので別途スタンドを用意したほうがいいと思います。
装備はビームライフルとシールドが付属しています。パーツ的にはそれほど多くなく、なるべく大きく1ピースで設計されつつもカラーごとに分けられたパーツで設定どおりに組み上がります。
完成!MGSD フリーダムガンダムが舞い降りる!
ここまで「MGSD フリーダムガンダム」の組み立てははいかがだったでしょうか。抜け落ち防止のツメ付き軸を多用することで旧来のSDシリーズのガンプラで感じていたアクションポーズのとりにくさを一挙に解消してくれたイメージです。こういった仕組みはぜひ他のシリーズでも可能な限り導入していってほしいと感じました。
そしてSDシリーズのガンプラだとかなり多用されるシールでディテールを再現する方法ですが、今回それに頼ることが一切なかったのがとても好印象でした。カラーごとのパーツ分けが完璧にできていることがシールを不要としています。キットに付属しているシールはあくまで“マーキングシール”で使わなくてもここまでの仕上がりを見せてくれるのはすばらしい!
MGSD フリーダムガンダムのレビューを終えて
「MGSD フリーダムガンダム」が発表された「GUNDAM NEXT FUTURE」会場で担当者から話を聞く機会がありました。「なぜフリーダム?」という問いには「率直にかっこいいから!」という答えを頂いたことを覚えています。確かにとてもかっこいいSDデザインのフリーダムになっていると感じることができました。それは組んでいても出来上がってもポージングしてもどこから見ても素晴らしいキットになっています。
さらに「MGSDの次回作は?」という問いには「年に一度出せれば……」とのことでしたが、特設サイトを見るともう第2弾が予定されていることがわかっています。今回のMGSDがとんでもなくハイクオリティだったことが組んでみてわかりましたので第2弾を楽しみに待ちつつ、それまで2023年の一発目のガンプラはこの「MGSD フリーダム」を堪能しておくことをお勧めします!