短い出番ながら鮮烈な印象を残した高機動仕様のシャア専用機
2022年に公開された映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。劇中でアムロ・レイが見た悪夢に一瞬登場したシャア専用ザクIIは、ランドセルや脚部が「高機動型」の形状になっていた。ついにHGキット化された本機は、傑作キットと名高い『THE ORIGIN』版の高機動型ザクを踏襲しているため、スタイルと可動は折り紙付きのクオリティとなっている。キットレビューとなる本作例はキットをほぼストレートに製作。その設計の妙を噛み締めながら、大きな改修は施さず細部を微調整する程度にとどめている。

▲シャア・アズナブルが搭乗する、高機動仕様の赤いザク。シャアはアレグランサ島での事件以前、大気圏突入前の戦いにて本機を使用していたようだ

▲製作途中の状態。好みでスカートの端部をプラ板でボリュームアップ。握ったハンドパーツはMSハンド02(ジオン系)を使用した

▲素組み(写真左側)と比較。本キットの起源は2015年に発売された『THE ORIGIN』版のHG 高機動型ザクIIだが、そのスタイリングは10年経っても何ら古びていない。製品は胸部形状やカラーリングに、シャア専用機の設定に近づけるための変更が加えられている

▲本機の特徴が一度に総覧できる背部カット。スラスターの内側は白で塗ってアクセントにしている

▲モノアイ部分をくりぬき、市販のレンズパーツの裏にメタリックテープを貼り込み光の反射具合を上げてから埋め込んだ

▲首と後頭部のスキ間を隠すためにプラ板で目隠しを追加。高機動型専用ランドセル上部のコの字フックはランナーを加工して太めに作り直した

▲ふくらはぎ内側にくる合わせ目の目隠し。切り出したプラ板を合わせ目の片側にだけ接着しておくことで、境目のラインを目立たなくすることができる

▲ヒザ関節の可動範囲拡大工作。丸で囲んだ部分を削ることで、ヒザをより真っすぐ伸ばすことができる

▲ヒザ関節の加工によってより真っすぐ伸ばせるようになった脚部。足首周辺のスラスターは塗装で金属的な風合いに。ふくらはぎ正面の縦に連なる丸ディテールは、中をくりぬいてから市販の金属パーツに交換した
▲靴の甲部分(パーツE1-1)が足首の傾きと連動して曲がるように改造。左右の内側にあたる干渉部分を削ると、E1-1を傾けられるようになる。これによりスネ~足首のラインがなだらかにつながるようになる(素組みと作例の比較写真、それぞれの右足首の角度を参照)

▲靴裏のスラスターも中央部をドリルで開口し、金属パーツを埋め込んでディテールアップ
豊富な武器が付属!

▲劇中ではMS用マシンガンだけを使用していたが、キットにはオマケでMS用対艦ライフルASR-78、MS用バズーカA2型と予備弾倉×2、ヒート・ホーク(使用時/未使用時)と、武装が豊富に付属するのがうれしい

▲前腕フレームパーツD1-3を中途で切り離すと後ハメできるようになる

▲肩関節パーツD1-6は、ポリキャップの差し込む方向を指定と逆向きにすると、より胴体と肩を密着させることができる。ポリキャップと干渉する梁を削り落とすとより効果的だ

▲ヒート・ホークを持たせて。赤熱化した刃先はイエロー+ホワイトのグラデーション塗装で表現した

▲MS用バズーカA2型を装備。各武器のスコープ部も、市販レンズパーツ+メタリックテープの貼り込みでキラッと輝くようにしている
ども! アーリーチョップ!!!です。今回製作したのはシャア専用高機動型ザクII。劇中で一瞬だけ登場した機体ですがそのインパクトは強く、キット化を待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか?
■製作
ザクIIというMSは、作り手の好みやこだわりで大きく仕上がりが変わってくるモチーフですが、改修を始めると沼にはまってしまうのも事実。そこで今回はキットのどうしても気になるポイントを洗い出し、細かな修正を積み重ねて仕上げてみました。ポイントは関節周り。具体的には肩・ヒザ・足首の関節を加工して、ザクらしい立ち姿になるように調整しています。
肩は胴体に接続するボールジョイントパーツのポリキャップを説明書とは逆に差し込み、より胴体と密着できるように加工。
ヒザ関節は内部の梁が干渉するので、干渉部位を削り込み、よりピンとヒザを伸ばせるように加工。
足首は甲のパーツとの干渉部分を削って、甲パーツが左右方向に傾くように改修しました。以上3点の改修で、ザクらしいドッシリとした台形型の立ち姿になります。
その他、細かな部分ですが前腕の合わせ目を処理するために前腕フレーム部を切り離して後ハメ加工。胸部センターのパーツを接続部に1mmプラ板を貼り前方に張り出させるようにしてボリュームアップ。特徴的なスネパーツは合わせ目部にプラ板を貼り込み、目隠し兼ディテールとして処理しました。最後に個人的な好みでスカートまわりをボリュームアップして、よりドッシリしたシルエットに変更しています。
■カラーリング・仕上げ
今回の製作に合わせてガンダムカラーのMSシャアピンクとシャア専用機レッドを用意したのですが…劇中カラーとは違って見えたので結局イチから調色しています。成型色を見ながら落ち着いたワインカラーで塗装しましたが、さらに少し汚しを入れて重厚感を演出しても面白いかもしれませんね。
デカールは付属デカールをメインに市販のコーションデカールを貼って情報量をアップしています。