電ホビ独占インタビュー!「けもプラ」の最新仕様をアオシマが2025年5月の静岡ホビーショーにて公開予定!その先出し情報と「DNAに響くケモ度とは何か」を企画チームが熱く語る!
プラモデル業界では日々さまざまな商品が登場していますが、近年特に注目を集めているのが「美少女プラモデル」というジャンル。これまでフィギュアやガレージキットで表現されていた美少女キャラクターが、組み立て式プラモデルとして数多く商品化され、国内外で人気ジャンルとなっています。
そんな中、2024年2月に開催された「ワンダーフェスティバル2024[冬]」で発表され、大きな話題となったのが、アオシマこと青島文化教材社の新シリーズ「けもプラ」。これまで「V.F.G.」や「新・合体」シリーズで支持を集めてきたアオシマが、次なるテーマに選んだのは“ケモノ”というディープな題材でした。「けもプラ」は、かわいらしい耳と尻尾の女の子だけでなく、獣人らしい姿にも組み換えられる高い“ケモ度”が特長。以降、ケモノ好きの間で大きな反響を呼んでいます。
SNSやイベント出展を通じて情報を少しずつ公開してきた本シリーズですが、電撃ホビーウェブでは2025年5月開催の静岡ホビーショーにて、その最新仕様が披露されるという情報をキャッチ! 静岡市のアオシマ本社にて、企画チームにインタビュー形式の取材を受けていただきました。

インタビューでは「けもプラ」の企画背景や開発の経緯、その魅力について、企画担当の金田辰也氏(以下金田氏)と、設定・プロモーション担当の岩間梨菜氏(以下岩間氏)に直接お話を伺いました。さらには、2024年5月から行われた「けもプラ」に関する読者アンケートの結果も開示していただきました! プラモデルファン、ケモノ好き必見の内容です!
商戦が激化している美少女プラモデル業界で生き残るためのアオシマのアンサー
――「V.F.G.(Variable Fighter Girls)」シリーズ(※)などを手がけてきたアオシマが、新たに“ケモノ”を題材とする美少女プラモデルシリーズを展開するというのは、とても衝撃的でした。「けもプラ」開発の経緯を教えてください。
金田:美少女プラモデルに関してはおっしゃる通り「V.F.G.」を中心にいろいろ展開させていただいています。「V.F.G.」は2018年に発売を開始しましたから、もう7年目ですね……おかげさまで、かなり長く続いていると思います。
(※)アオシマが展開している「マクロス」シリーズの“メカ”と“ガール”を組み合わせて表現する美少女プラモデルシリーズ
そうした中で「美少女プラモデル」というジャンルで最近特に感じるのは、参入メーカーがかなり増えてきたな、というところですね。この企画(けもプラ)自体は今から1年以上前に考えはじめたものですが、その当時でも、すでに多くの海外メーカー・ブランドが美少女プラモ市場に参入していました。あまりよい言い回しではないかもしれませんが、美少女プラモデルというジャンルそのものがレッドオーシャン化(※商戦の激化)しているように感じたんですね。そういう市場の中で生き残るには、自分たちの“個性が出るもの”をやっていかないといけない、没個性にならないものを模索しなければならない……そんな想いが今回の企画のそもそもの発端です。
金田:商品としての個性を出すのであれば、版権アイテム――当社でいえば「V.F.G.」のマクロスシリーズですね――という選択肢があります。それはそれでチャレンジしなければならないアイテムですが、やはり「オリジナリティのあるものを作りたい」という気持ちも強くありました。
――ということは、“ケモノ”にたどり着くまでは、いろいろ検討されたんですね。
金田:もちろんです。最終的に“ケモノ感”が強いものを出そうというのは、企画立ち上げからかなり経って決まったんですが、「V.F.G.」シリーズでも実は猫耳少女(※)という題材はチャレンジしていたんですよ。そのときも自分なりにネタを考えて、権利元であるビックウエスト様と相談しつつ、特色のあるキャラとなるように工夫していました。
(※ 「V.F.G. MC-03 マクロスΔ VF-31A カイロス」2018年12月発売。その後も、「マクロスΔ VF-31D スクルド」、「マクロスΔ VB-6 ケーニッヒモンスター」など、ケモ感のある“ガール”が登場している)
金田:その時感じたのは、やっぱり「ケモ耳+しっぽ」って、“かわいい”のキーになる部分なんだな、って。アニメでもイラストでも、コスプレでもそうですが、そういう要素を持ったキャラクターって、やっぱり人気が出る。確実に「刺さる」部分ではあるんですね。ただ、それだけだとやはり没個性になってしまう可能性があるので、そこをどう超えていくか。色々と考え、「外的要因に左右されない自由な発想で、オリジナルが出せるものって何だろう?」を突き詰めていったら、自然と“ケモノ”というアイディアに行き着いたんです。
“ケモノ”を愛おしい存在と感じるのはDNAに刻まれているから!?
――たしかに、獣人や獣の擬人化は普遍的なモチーフですよね。とはいえ、猫耳がついてるだけの“かわいい女の子”から、二本足で立ち上がっている獣人的なものまで、“ケモノ”から連想するイメージは人それぞれだと思います。今回のプロダクトでは、全部とりこんでやろうという意気込みを感じるのですが、そこまで思い切ったのはなぜなのでしょう?
金田:「獣人」という切り口の美少女プラモデルを考えたときに、「この方向性は、実は相当にアリなんじゃないか!?」と思って、ちょっと深掘りしてみたんですよ。
それで、古代からの歴史や宗教、ごく最近のサブカル的なものまで調べてみて感じたのは、人間は昔から動物や獣を“かわいい”って思ってたってことなんですよ。たとえば、エジプト神話に登場するバステトやアヌビスは、動物が神格化されてますよね。あれは「崇めるほど愛おしい存在」だったからなんじゃないかな、と(笑)。
そういった信仰心や崇拝って、“親しみをもって敬うシンボル”となるわけで。いわゆる「トーテミズム」とかもそうですよね。人類が進化する過程の中で、動物的な存在に意味を見出してきたのは、DNA的に根付いてる感情だと思うんです。だから、“ケモノ”というモチーフを掘り下げれば、国や文化を越えて多くの人に受け入れてもらえる可能性があるのではないか。
金田:そして、さらに調べてみると“ケモノ”カルチャーって、ものすごく幅広いんですよ。海外では、二足歩行する獣人タイプのキャラクターが映画やアニメにたくさん登場してるし、そういうものがしっかり受け入れられている。海外にも“ケモノ”がテーマのコンベンションはありますし、着ぐるみのカルチャーも根強い。ですから、ワールドワイドでも絶対にウケるだろうという確信がありました。
「けもプラ」なら、レッドオーシャン化してる美少女プラモデル業界においても、まさに“毛色の違う”アプローチができるに違いないと思ったんです。
――なるほど。海外の需要という視点はちょっと意外でした。たしかに動物を擬人化したキャラが主人公のカートゥーン作品が数多く作られているのですから、もしかしたら海外の方のほうが“ケモノ”への解像度は高いかもしれませんね。
金田:そうなんですよ。幼少期からそういうビジュアルに慣れ親しんでるんですよね。だから美少女的なビジュアルになったとしても、きちんと楽しめる素地がある。これはまだ妄想の域ですが、海外にも熱心なファン層を獲得できるのではないか……と思っています。
岩間:ケモプラのX(旧Twitter)アカウントは、まだフォロワー数が7,000人ぐらいなのですが、かなり初期の段階から英語・中国語・韓国語のリプライや引用RTをいただいているんですよ。これってかなり珍しいことで、認知度はまだまだの状況なのに、しっかり反応がある。「ああ、需要あるんだな」と、プロモーションをやっててすごく感じます。
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