BANDAI SPIRITSは、「マクロスシリーズ」のアニメ放送40周年となる2023年に「マクロス」プラモデル新シリーズをHGブランドにて開始しました。パーツ差し替えによる新たな変形機構を採用した本シリーズは、第1弾となる「HG 1/100 YF-19」を始め、これまでに4種類の機体をラインナップしています。
本記事では5月18日に発売されるシリーズ第5弾、「HG 1/100 VF-19改 ファイヤーバルキリー サウンドブースター装備」の魅力をお伝えします。今回は同時発売の専用水転写式デカールを使用した素組みレビューとなります。
「マクロス」シリーズ初となる戦わない主人公を描いた人気作「マクロス7」
今回紹介する「HG 1/100 VF-19改 ファイヤーバルキリー サウンドブースター装備」は1994年放送のテレビアニメ、「マクロス7」に登場する可変戦闘機です。物語の主人公である熱気バサラは自身専用にカスタマイズされたVF-19改 ファイヤーバルキリーを用いて戦場を縦横無尽に飛び回り、自身の歌を戦場に届けていきます。戦場に広がるバサラの歌声が物語のキーポイントとなっていきます。
VF-19改のファイター形態。本キットでは、プラモデルオリジナルギミックとしてファイター形態にもサウンドブースターの取り付けが可能です。
ショートカットチェンジによりプロポーションと組み立てやすさを両立したプラモデルシリーズにファイヤーバルキリーが登場
HG 1/100スケールマクロスシリーズは、2023年より展開される「マクロスシリーズ」の機体をテーマにしたプラモデルです。一部のパーツを差し替えとする差替三段変形(ショートカットチェンジ)を採用することで変形シークエンスを簡略化し、HGシリーズならではの組み立てやすさと広い可動域、各形態の洗練されたフォルムを実現しています。
VF-19改のガウォーク形態。
まずはキットのランナーや、シールを見てみましょう。「HG 1/100 VF-19改 ファイヤーバルキリー サウンドブースター装備」は色プラランナーが1枚、レッドのランナーが5枚、ダークブルーのランナーが5枚、ブルーのランナーが2枚、蛍光グリーンのランナーが1枚、ポリキャップのランナーが1枚、スタンドのランナーが1枚で構成されています。また、一部のランナーは以前発売された「HG 1/100 YF-19」からの流用となっています。
シールについては、マット調のマーキングシールが1枚、メタリック調のマーキングシールが1枚、厚みのあるプラスチックシールが1枚付属しています。別売りの「HG 1/100 VF-19改 ファイヤーバルキリー サウンドブースター装備 専用水転写式デカール」を使用することでコーションマークやマーキングを追加することも可能です。
「HG 1/100 VF-19改 ファイヤーバルキリー サウンドブースター装備」を構成するランナーとシール類。一部パーツはYF-19から流用されています。
別売りとなっている水転写デカール、付属のマーキングシールにはないマーキングを追加できます。
HGならではの組み立てやすさと成型色による色分けを再現したキット
それではキットの組み立てを始めます。本キットはバトロイドの組み立てからスタートし、その後各部差し替えパーツを組み立てる順序となります。
頭部パーツは差し替えのフェイスパーツを含め11パーツにて構成されています。センサー部分の色分けはマーキングシールによる色分けとなっており、イエローの色分けに関してはマーキングシールもしくは水転写デカールを使用します。
組み立て前の頭部パーツ。全11パーツにて構成されています。
フェイスパーツは内部に組み込む際に表情を選択します。パーツの差し替えは完成後も可能です。
組み立てが完了した頭部パーツ。額部の稲妻カラーは水転写デカールによる色分けです。
胸部パーツは全5パーツにて構成されており、差し替え変形との都合で引き出し関節等はないシンプルな構造です。胸部の差し色となるイエローはパーツ分割による色分けとなっています。
組み立て前の胸部パーツ。全5パーツにて構成されています。
組み立てが完了した胸部パーツ。水転写デカールを使用することで細かい文字を描き込むことができます。
右腕部パーツは差し替え用手首パーツを含め、24パーツにて構成されています。ひじ関節は昨今のガンプラでは主流となっている2重関節ではなく、オーソドックスな1軸関節となっており、およそ120°程可動させることが可能です。交換用の手首パーツは銃持ち手、握り手、開き手が付属します。
組み立て前の右腕部パーツ。全24パーツにて構成されています。
ひじ関節の構造。約120°程曲げることが可能です。
交換用手首パーツは銃持ち手、握り手、開き手が付属します。
組み立てが完了した右腕部パーツ。肩部のメタリックパープルはマーキングシールによる色分けです。
左腕部の構造は基本的に右腕部パーツの対称構造となりますが、左腕部の交換用手首パーツは握り手と開き手の2種類となり、武器持ち手は付属しません。また、左腕部のみシールドを装備します。
左腕部は交換用手首の種類とシールドの有無が右腕と異なります。
腹部パーツは差し替え変形の都合で腹部から内部フレームを介して首関節までのパーツ構成となっています。また、中央部分はファイター時に機首となるパーツですが差し替え変形によるスタイル向上のため丸みのあるデザインに変更されています。
組み立て前の腹部パーツ。全9パーツにて構成されています。
組み立てが完了した腹部パーツ。差し替え変形のため、首関節まで一体となっています。
これにて、バトロイド時の上半身を構成するパーツは全て完成です。各部をドッキングさせて上半身を完成させます。
組み立て前の上半身。肩関節および頭部の接続はボールジョイントとなっています。
組み立てが完了した上半身。これら上半身パーツはバトロイド時とガウォーク時に使用します。
ここからは下半身を構成するパーツを組み立てます。腰部パーツはスカートがないデザインということもあり、全7パーツと少ないパーツ数にて構成されています。なお、脚部との接続部はスイング機構があり、可動域の拡大に役立っています。
組み立て前の腰部パーツ。全7パーツにて構成されています。
組み立てが完了した腰部パーツ。下部には取り外し可能なスタンドパーツ接続孔があります。
足部パーツはファイター時のエンジンノズルとなる部位となっており形状は左右で共通となっています。また、変形による恩恵でつま先部分が大きく可動させることが可能となっています。
組み立て前の足部パーツ。全5パーツにて構成されています。
組み立てが完了した足部パーツ。ファイターへの変形のため、つま先部分とかかと部分が可動します。
脚部パーツは変形機構を有していることもあり、本キットの中で最もパーツ数が多くなっています。また、脚部の各関節には変形時や可動域の拡張のために引き出し機構が搭載されており、各関節を適宜調節することが可能です。
組み立て前の脚部パーツ。全23パーツにて構成されています。
脚部の引き出し式関節。ガウォークへの変形やバトロイド時のポージングにて使用します。
組み立てが完了した脚部パーツ。主翼パーツには水転写デカールによる大きなマーキングがあります。
これにて、下半身を構成する各種パーツの組み立ては完了です。一体化して下半身を完成させます。この下半身パーツはバトロイドからファイターまでの全ての形態にて変形させ使用します。
下半身を構成する各部パーツ。各部の接続はボールジョイントによる接続となっています。
組み立てが完了した下半身。下半身はバトロイドからファイターまでの各形態で使用します。
本キット唯一の手持ち武装となるランチャーポッドは全3パーツにて構成されており、後部にはファイヤーボンバーの刻印が刻まれています。別売りとなっている水転写デカールには刻印部に使用するデカールも含まれており、貼り付けることで文字をシルバーにすることが可能です。
組み立て前のランチャーポッド。全3パーツにて構成されています。
ランチャーポッド後部にはファイヤーボンバーの刻印が入っています。
組み立てが完了したランチャーポッド。グリップ部分はファイター形態時のジョイント軸として機能するため、特に可動機構はありません。
以上でバトロイド形態を構成するパーツは全て組み立て完了です。各パーツを合体し、バトロイドを完成させます。
バトロイド形態を構成するパーツ。上半身と下半身の接続はボールジョイントによる接続になっています。
完成したVF-19改のバトロイド形態。全高は約145mmの高さになっています。
3形態を再現するショートカットチェンジ用差し替えパーツの組み立て
VF-19改のバトロイド形態が完成したので、ここからは差し替えパーツを組み立てます。肩部には差し替えパーツを使用したスピーカー展開ギミックが搭載されています。差し替えパーツは前後2分割で構成されています。
組み立て前のスピーカーパーツ。左右各2パーツにて構成されています。
組み立てが完了したスピーカーパーツ。左右対称形状となっています。
ガウォーク時に使用する腹部パーツは全3パーツにて構成されており、暗転パーツはバトロイドと同一形状のものを使用しています。また、アンテナの塗分けはマーキングシールもしくは水転写デカールによって塗分けることが可能です。
記事を要約する(AI)3行まとめ
組み立て前のガウォーク時腹部パーツ。全3パーツにて構成されています。
組み立てが完了したガウォーク時腹部パーツ。差し替え変形にすることでプロポーション重視となっています。
機首パーツは全9パーツにて構成されており、熱気バサラのパイロットフィギュアも付属しています。また、キャノピーパーツは偏光樹脂にて成型されており、キャノピーの開閉は差し込み方向により開閉選択ができます。
組み立て前の機首パーツ。全9パーツにて構成されています。
コックピットには熱気バサラフィギュアが座っています。
キャノピーパーツはパーツの差し込み方向で開閉選択が可能です。
組み立てが完了した機首パーツ。機首回りのマーキングは水転写デカールにて追加できます。
ファイター形態では腕部パーツは機体内部に収納されますが、この腕部は差し替えパーツによる再現となっています。差し替え用のパーツは4パーツにて構成されており、ブラック部分はマーキングシールによる色分けです。
組み立て前の腕部差し替えパーツ。全4パーツにて構成されています。
組み立てが完了した腕部差し替えパーツ。ブラック部分はシールによる色分けとなっています。
ファイターへの変形時は飛行状態での展示もできますが、ランディングギアを使用して駐機状態を再現することもできます。ランディングギアは差し替えにて展開状態を再現可能です。
組み立て前のランディングギア。タイヤは別パーツによる再現となっています。
組み立てが完了したランディングギア。左右主脚はタイヤ1輪、前脚はタイヤ2輪となっています。
ここからはサウンドブースターを組み立てていきます。サウンドブースターのスピーカー部分は全19パーツにて構成されており、一部色分けは水転写デカールやマーキングシールによる色分けとなっています。
組み立て前のスピーカーパーツ。全19パーツにて構成されています。
スピーカーパーツの内部にプラスチックシールを使用して色分けを行なうことができます。
組み立てが完了したスピーカーパーツ。主翼のホワイト部分や稲妻マークの塗分けはマーキングシールや水転写デカールによる色分けとなっています。
サウンドブースターの基部パーツは全6パーツにて構成されており、レッド、ブルー、蛍光グリーンの3色で再現されています。
組み立て前のサウンドブースター基部パーツ。全6パーツにて構成されています。
組み立てが完了したサウンドブースター基部パーツ。ブルーのアンテナはバトロイドとの合体時は取り外します。
サウンドブースターの一体化はボールジョイントによる接続となっています。ボールジョイントとの接続後、ダボをかみ合わせることで回転をロックすることができます。
一体化前のサウンドブースター。スピーカーパーツと基部の接続はボールジョイントによる接続となっています。
一体化が完了したサウンドブースター。スタンドパーツを使用することで飛行状態を再現することができます。
その他の付属品として、サウンドブースター接続ジョイントとスタンドパーツが付属しています。
サウンドブースター接続用ジョイント。ファイター時とバトロイド時の2種類が付属します。
付属しているスタンドパーツ。
これにて、全てのパーツが組み立て完了です。早速バトロイド形態から完成したキットを見ていきましょう。
差し替え変形で各状態最高のプロポーションを再現したキット
まずはバトロイドでの完成状態を見てみましょう。これまでと同様に前後左右から見てみます。
【バトロイド形態】
正面
右側面
背面
左側面
折り畳みを行なった主翼は腰部にマウントされるため下半身にボリュームのあるデザインとなっています。ここからは各種ポーズをつけてみましょう。
スタンドパーツを使用してポーズをつけてみました。差し替え変形の恩恵でベストなプロポーションを維持しています。
フェイス部のアップ。マクロスメカには珍しく口のあるデザインとなっています。
肩部スピーカーを展開状態にしてみました。厚みが出ることで印象が変わります。
ランチャーポッドを両手で持ってみました。十分に可動範囲があるためランチャーポッドを両手で持つことが可能です。
フェイス部を差し替えてみました。表情がなくなることでよりロボットらしい表情になりました。
ここからはサウンドブースターを見てみます。最初は前後側面から見てみます。
【サウンドブースター】
正面
側面
背面
追加装備ではあるものの、ファイヤーバルキリーと同等のサイズ感があります。ここからはサウンドブースターとファイヤーバルキリーを合体させていきます。まずはサウンドブースターの変形から行ないます。
最初にアンテナ部分を取り外します。アンテナは余りパーツになります。
主翼を折りたたみ、スピーカーを回転させます。
ブルー部分のパーツを展開し、サウンドブースターの変形は完了です。
ここからはバトロイドに合体させていきます。バトロイド側は特に合体準備をすることなくそのまま合体させます。
合体前のサウンドブースターとバトロイド。サウンドブースターとバトロイドの接続は専用ジョイントパーツを使用します。
サウンドブースターを装備したバトロイド。上半身にボリュームが出るため印象が大きく変わります。
スタンドパーツを使用してポーズをとらせてみました。サウンドブースターを使用してもバトロイドの可動に干渉はありません。
背面のアップ。展開した装甲から見える内部構造は成型色による色分けとなっています。
ここからはバトロイドを変形させていきます。まずはバトロイドからガウォークへの変形をさせていきます。ガウォークへの変形は腕部と胸部、下半身を変形させ、機首部分は差し替えを行ないます。
【ガウォーク形態への変形】
最初にバトロイドを分解します。この際、頭部パーツ、腹部パーツ、エアインテークカバー、スタンドパーツジョイントは余りパーツとなります。
上半身パーツにガウォーク時腹部パーツを差し込みます。
ガウォーク時腹部パーツを取り付けた上半身。差し替えパーツにすることで頭部パーツを完全に収納することが可能です。
下半身の変形は各部関節を延長し、鳥脚状態に変形させます。
大腿部に接続された主翼を展開し、下半身の変形は完了です。
変形させた下半身に機首パーツを接続します。機首の接続はボールジョイントにて行ないます。
変形させた下半身、上半身、腰部装甲を合体させてガウォーク形態へ変形完了です。
これにてガウォーク形態への変形は完了です。前後左右から見てみましょう。
【ガウォーク形態】
正面
右側面
背面
左側面
ガウォーク形態でもスタンドパーツなしで自立させることが可能です。
スタンドパーツを使用して少しポーズをつけてみました。ガウォーク形態では特に大きな可動は難しいようです。
下から覗き込んでみました。あおりで見ることで迫力がある写真が撮影できます。
ガウォーク時上部のアップ。差し替えにて頭部収納を再現しています。
背面のアップ。膝裏から内部フレームが見える構造となっています。
最後にファイター形態へ変形させていきます。ファイター形態への変形は上半身を丸ごと差し替えることで変形を行ないます。
【ファイター形態への変形】
ガウォークを分解します。この際、上半身は差し替えパーツと交換します。
差し替え用腕部パーツを下半身パーツに接続します。差し替え用腕部パーツは差し替え前と比較するとかなり小型化しています。
主翼を下げ、差し替え用腕部パーツを取り付けます。
脚部関節真っすぐに伸ばした後、関節を押し込み固定します。
主翼を展開し、脚部ロックピンで固定します。
下面に、腰部装甲とランチャーポッドを固定してファイター形態への変形完了です。
駐機状態を再現するためにランディングギアを取り付けることができます。ランディングギアのカバーを取り外し、ランディングギアを取り付けます。
これにてファイター形態への変形が完了です。ファイター形態を前後側面から見てみましょう。
【ファイター形態】
正面
側面
背面
スタンドパーツを使用して飛行状態を再現してみました。前進翼が特徴的なデザインとなっています。
背面のアップ。差し替え変形により腕部が張り出していないため、空気抵抗が少ない印象を与えます。
右主翼のアップ。ファイヤーボンバーのロゴは水転写デカールにて再現されています。
左主翼のアップ。ファイヤーボンバーの曲名リストが水転写デカールで再現されています。
ファイター形態では、プラモデルオリジナルギミックとしてサウンドブースターと合体させることができます。合体にはファイター専用ジョイントを使用します。
合体前のファイターとサウンドブースター。専用ジョイントにより合体可能です。
機体上面に専用ジョイントを使用して合体させます。
合体させたファイター上面のアップ。ファイターの前進翼とサウンドブースターの後退翼が合わさりSFメカ感が出ます。
HG 1/100スケールマクロスシリーズの最新キットとなる本キットは、サウンドブースターが付属していることでプレイバリューも高く満足感のあるキットだと思います。ほかのシリーズ商品同様、別売りの水転写デカールを使用することでよりリアリティのある仕上がりにできることも魅力です。VF-19改では、ファイヤーボンバーの曲名リストなどユニークなデザインとなっていました。
航空機モデルとしては非常に組み立てやすく、ショートカットチェンジによるプロポーションの再現度はご覧頂いた通りの仕上がりです。本キットをマクロスプラモデルに触れるきっかけにして、ここから様々なHG 1/100スケールマクロスシリーズシリーズに触れてみてもいいと思います。この記事をきっかけにマクロスの世界観に触れてみてはいかがでしょうか。