いきもの大図鑑シリーズの企画開発担当の誉田です。
前回の「いきもの大図鑑アドバンス スズメバチ 開発日記(その一)」では、どのような彩色にすれば手に取った人を驚かすことが出来るかかを検討し、そこで行き詰っている話をしました。
今回はそこからの続きとなります。
インパクトのある彩色方法を見つけるため、いろんな方に彩色モデルをお願いしたところ、ある方がこちらの依頼した仕様とは異なるものを上げてきました。
それは、全身、すべてボカシ塗装で彩色したものでした。しかも、全身を艶有りでテカテカに光り輝いていました。
私の指示していたものとは異なりました。
頭の彩色指示は胴体の警告色のキイロと黒のライン分けはスプレーマスクできっちりを分け、追加で赤茶色をボカシ塗装でリアル感を出し、胴体は艶消し、顔のみ艶有りで顔の獰猛さのインパクトを出すものでした。
なぜ、艶消しで指定していたかというと、ある程度大きめのフィギュアの場合、どうしても彩色せずに素材の成形色を使用する箇所が出てきますが、艶消しにしておかないとそのプラの素材が見える部分にオモチャっぽさが出てくるため、それを防ぐためにプラの表面も艶なしで仕上げるというのが私の中の鉄則だったからです。
しかも、全身ボカシ塗装だなんて、大量生産のカプセルでは到底生産出来るはずがないからです。
ボカシ塗装でも今回のように細かく彩色を入れるとなると、細いラインも彩色が出来るようなスプレーガンを使って、フリーハンドで何回もその部分を吹きながら仕上げていく彩色方法のため、熟練の職人による手作業といっても過言ではない方法です。
一般の工員では塗装することはできないため、このタイプのスプレーを訓練した職人しか扱うことが出来ないだけでなく、塗装にかなりの時間がかかるため、低ロットの高額フィギュアでしか使えない彩色方法です。
とはいえ、コストやカプセルで生産可能かどうかなど考えなければ、この彩色モデルは、全身光沢のある塗装ですが、全身くまなくボカシ塗装を使って細部まで彩色しているので、そんなオモチャっぽさなど全く感じません。
それどころか、今まで見たこともないような全身光沢のスズメバチの獰猛さを余すことなく再現しており、私自身が圧巻されるくらいインパクトは絶大でした。
とはいえ、この仕様は大量生産のガシャポンでは先ほどの理由からもご法度なものでした。
この仕様に近づけようと、艶なし塗装に変更し、ボカシ塗装部分を大幅に減らし近づけようとサンプルを何度も作ってみましたが、この最初のモデルのインパクトは出すことはできませんでした。
「1000円という今までにない価格帯のガシャポンを販売するなら、今までと同じ考えではないことに挑戦しなければ驚かす仕様のものは作れない。」
と考え直し、今回の仕様をガシャポンでの商品化が本当に不可能なのか?もしかしたら、可能性があるのかもしれないと検討を始めることにしました。
キイロスズメバチ
〇必要な生産数量を上げることが出来るか?
まず、時間がかかりすぎるこの彩色方法で大量生産をどうやって可能にするか?
という問題ですが、あることに気が付きました。
今年はプレミアムガシャポンの立ち上げ時期で、自販機の設置台数を増やしている段階のため、生産数量もこれまでの通常弾と比べては大幅に少ない時期ではあります。
逆にプレミアムガシャポン用の自販機が増えていき、生産数量が増えれば2度とこのような仕様は出来なくなるため、ある意味、このような仕様のものをガシャポンで出せる最初で最後のチャンスなのではないか?
そこで、工場と打ち合わせを重ね、生産時間を大幅にとることでスケジュール的に可能性が見えてきました。
〇いきもの大図鑑をこれまでも集めてくださっている方に確実に手に届く手法はあるか?
そして、今まで集めてくださっている方に設置台数を増やしている段階のプレミアムガシャポンでもキチンと届ける必要があります。
そこで、今回、プレミアムガシャポンだけでなく、ガシャポンオンラインで先行予約を取る形を取ることにしました。
期間限定ではありますが、この方法であれば、予約して頂いた方には確実に届けることが出来ます。
カプセル自販機でのプレミアムガシャポンの発売は6月となります。
ガシャポンオンラインではただ今受付中でこちらの商品の発送はプレミアムガシャポンの発売月である6月にお届けとなります。
(注意、ガシャポンオンラインは4月8日で締め切られます。また、用意しています数量に達しますと早期に終了となることもあります。)
キイロスズメバチ
これらの施策を行うことで問題点をクリアすることが出来たため、改めてこの全身ボカシ塗装の商品に仕様が決まりました。
「いきもの大図鑑アドバンス スズメバチ」は彩色だけではありません。前回のものからさらに進化(アドバンス)させるために、いくつかの箇所を新しく作り直していきます。
いきもの大図鑑アドバンス スズメバチ 開発日記(その三)に続く。